「広い芝生で、飛びたいのに」
私の心は、籠の中。記憶がある時から、ずっとここだ。
時々私より背の高い人達が徘徊してきて、罵声を浴びさせる。
鳥籠の中の私は、何も抵抗できない。
もうひとつ、隣に籠があって、私に少し似た、鳥が佇んていた。
その鳥はその人たちから、「愛」を与えられているらしい。
私がそっちを見ていると、背の高い人達と目が合って、汚物を見るかのような目で、私を軽蔑した。
何回もその瞳を見る度、足にツタのようなものが絡みついて、私を動けなくしてくる。
籠を開けて、逃げない限り、私はこのままだ。あの鳥もきっと、私と同じ未来になる。
私たちは、生まれた時から何重もの鳥籠の中で、飛び回っている。
お題 鳥かご
「私たちは、心友だもんねっ」
友情。
ただの、表面上での付き合い。平行線だ。
その中に隠れているのは、本物の愛……なんて、聞いたことない。
信頼も期待も、愛もない。
希薄で、ガラスのように壊れやすい。
だから、言葉をぐっと飲み込む。そうだね、と頷く。
せめてもの時間を、愛していたいから。
友情って、砂のお城みたいだね。
お題 友情
「昔に戻りたいっ……」
年長さんくらいに戻れたら。
純粋無垢で、毎日楽しくて、イベントがあったらなにか貰えて、優遇状態になれたのかも。
自分の過ちや後悔をしてしまった時に戻って、失敗を引きずらない未来にしたい。
もっと昔に戻って、これからの地球の問題を訴えて、温暖化や差別をなくしたい。
それが可能なら。私たちは変われていたのかもしれない。
そんなこと全部、知った上でのことだし、卑怯なことだよね。
お題 もしもタイムマシンがあったなら
「今、欲しいもの?」
急に聞かれても、欲しいものが出てこない。
考えない時には物欲はあるはずなのに、出てこない。
あ、そうだ。
自分のことを理解出来る心。
それが欲しいかも。
どうせ、鼻で笑い飛ばされそうだけど。
それが貰えたら、自分のことを少し、好きでいられるかもね。
お題 今一番欲しいもの
「…つかつき、調月」
私の名前。流石に本名は名乗れないから、調月になる。
もっと言えば、LINEやSNSも全く違う名前でやっている。
リアル以外で、本名を名乗ったことは無い。
調月って名前も、特段意味は込めてないんだよね。
これを始める頃、ちょうど望遠鏡で月を眺めていたから。
理由はあまり覚えていないけど、多分そうだ。
それも全部、大切な思い出。
だからこの名前、大切にしたい。
私は調月だ。ほかの何物でもない。
お題 私の名前