調月

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「広い芝生で、飛びたいのに」
私の心は、籠の中。記憶がある時から、ずっとここだ。

時々私より背の高い人達が徘徊してきて、罵声を浴びさせる。
鳥籠の中の私は、何も抵抗できない。

もうひとつ、隣に籠があって、私に少し似た、鳥が佇んていた。
その鳥はその人たちから、「愛」を与えられているらしい。
私がそっちを見ていると、背の高い人達と目が合って、汚物を見るかのような目で、私を軽蔑した。

何回もその瞳を見る度、足にツタのようなものが絡みついて、私を動けなくしてくる。
籠を開けて、逃げない限り、私はこのままだ。あの鳥もきっと、私と同じ未来になる。

私たちは、生まれた時から何重もの鳥籠の中で、飛び回っている。



お題 鳥かご

7/25/2024, 1:29:15 PM