世界のおわり

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3/13/2026, 4:51:43 AM

《もっと知りたい》
好奇心は猫をも殺す。
そんなことは重々承知している。
でも、どうしても知りたかったの。
あなたの匂いを。
あなたの心拍を。
髪の質感を。
手の形を。
あなたを愛していたの。
あなたを愛したことで、私の全てがどうにかなってしまってもいいと本気で思えるほどに。



なんで泣いているのかしら、愛しい人。
私の愛はそんなに嫌だったのかしら。
ごめんなさい、独りよがりの我儘だったわね。
早とちりしてしまったわ。
あなたが愛が欲しいと言ってたから。
私なんかの愛でも役に立てると思ったの。
泣き止ませるつもりが、更に泣かしてしまったわ。
ごめんなさいね。
あなたが抱きしめあっている人達を羨ましそうにみていたから。
そうしたら泣き止んでくれると思ったの。


あら、私に触らない方がいいと思うわよ。
あなたの綺麗な体が赤く汚れちゃうじゃない。
気合いで眠気と戦って意識を保っているけれど、もうそろそろ無理な気がしてきたわね。

手を握ってくれるの。
頭を撫でてくれるの。
抱きしめてくれるの。
初めて知ったわ。
人ってあたたかいのね。


今あなたが呟いたことばは何?
聞いた事がないわ。
、、、私の名前?
あなた、私に名前を付けてくれたの?


とても良いものを貰えてばかりね。
どうしましょう。
感謝を伝えたいのに、口から何もでないわ。
手もなにも動かせない。
あなたも泣いたままなのに、とても眠い。
起きたら、ちゃんとその涙を、ふいて

3/4/2026, 6:05:13 AM

《ひなまつり》
「おひなさま、きれいだね」
「本当だね、綺麗だね」
「きょーちゃんの髪もお雛様みたいで綺麗だよ」
「ありがとう」

あなたのその言葉が本当に嬉しくて。
幼い頃の私はお姫様じゃなくて、お雛様になりたがった。
お洋服よりもお着物を着たがった。
そして、あなたに褒めて貰ったらふわふわした気持ちでいっぱいになった。
「お雛様みたい?」
そう回って聞く幼い私にいつもあなたは「綺麗だよ」と答えてくれた。

恋にもならなかった幼い頃抱いた淡い憧れ。
その思い出は今も私の胸の中に大切にしまってある。

私知ってるの。
反抗期で何にでも怒って何でも壊すあなたが雛人形にだけは手を出さなかったことを。
玄関に置いてあるし、小さいから壊しやすいはずなのに。
壊すどころか、横の壁を蹴った衝動で位置がズレてしまったのをなおすくらいだった。

だからね、今雛人形を乱雑に扱う貴方は偽物。
でもね、私の前ではあなたでいてくれるから、居てくれる限り見ない振りしてあげる。

3/2/2026, 9:42:59 AM

《欲望》
私はもう使命を果たした。
国家の秩序の為に十分に働いた。
もう私の手を必要としない程、後輩の子たちも十分そだった。
私を突き動かしてきた信念も同志に託した。





だから、もういいのかもしれない。
私は、この信念を志す原初。
あなたへの愛だけを持って逝きます。

2/28/2026, 11:40:17 AM

《現実逃避》
不自由ない生活を送ることが出来て、自分の命が他の人より価値がある代償に、僕の生の終わりを望む人は続くことを願う人よりも多い。
僕の生は沢山のひとの命と屍の上に成り立っている。
命を脅かされる度に何度でも逃げ出したいと思った。
でも、その度に僕の料理を食べて動かなくなった人が、
僕を守って赤い水溜まりを作った人が、僕に手を伸ばして、足を掴んで離さない。
僕は『偶然』で命を落とす他にこの命の価値を変えることは許されない。



だけど、夢をみることぐらいなら、許してくれるよね。
僕が僕を守ってくれた命に押し潰されそうになった時、僕と秘密で友達になってくれたひーくんとひそひそと内緒話をする。
内緒話の中の僕はただの何処にでもいる子で、学校に行ったり出来たてのアイスを食べたりして、誰かの悲鳴が響くこともなく、赤い水溜まりをみることもなかった。

いつもこの内緒話を始まる前に、ひーくんは「ひーくんと一緒に逃げちゃおうよ」と手を差し出してくれる。
そんなこと出来るはずがないことは、言っているひーくんもわかっているだろう。
でもその言葉に何回も救われた。


そしてまた今日も、差し出された手をとる。
そして叶わぬもしもを口にする。


「ひーくんに会って頑張ったねって言ってもらって、また内緒話をするんだ」


もしも僕が普通の子だったら、ひーくんは今日も一緒に内緒話してくれたのかな。






2/27/2026, 9:35:24 AM

<君は今>
もう、声も思い出せない君へ君は今どこで何をしているのだろうか。
お腹は空かせていないだろうか。
何にも脅かされず損なわれずしあわせに日々を過ごしているだろうか。
不思議だね。
君が誰かも分からないのに、君がしあわせなら僕はもう何もいらないんだ。

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