「君と見た虹」
「こっち来て!虹が出てる!」
仔犬のような急かし方をする君が腕を引く。案内に従うと、想像通りの空が広がっていた。
「きれいだね。」
「ねぇ、今から虹の端っこを掴まえに行こ?あーでも、断るとしても光の屈折の…なんかの定理の話はもう勘弁だよ。」
「プリズムの原理、ね。」
理科の成績で君に勝てたことはないし、君は同じことを3度も言わない。
「…こんな定理も僕らが虹の端にたどり着けばひっくり返る。本当にプリズムの原理によるものなのか、確かめに行こうか。」
「そうこなきゃ!さっそく荷造りしよ!!」
虹の端に興味があるフリをした僕らの旅が始まる。
「ひそかな想い」
口に出すのは勇気がいるから、ひそかに想っているの。
勝手に肥大化するそれを圧縮袋に詰めた。
遠い場所に捨てに行こう。
平穏な日々には要らないものだから。
出発前の荷物チェック。
スーツケースを開けた瞬間、爆発が起きた。
内容物は飛び散り、尚も肥大化を続けている。
もう無かったことには出来ないな。
「あなたは誰」
「あなたは誰?」
何故か知っている気がする人か、
もう1人の僕にかける言葉。
人生で一度は言ってみたいかも。
なんてぼんやり考えながら、下駄箱に鍵を投げる。
パチッという音と伴に暖色に染まる部屋。
「…あなたは誰?」
人生で一度も言いたくなかったな。
「輝き」
性善説は唱えられない。
善も悪も見方次第。根源にあるのは己の欲だけ。
自覚しながら悪事を働いたこと、今まで沢山あるでしょ?今だって、手汗が止まらないみたい。
それでいい。善悪なんて忘れて欲のまま動いてよ。その余裕のなさがあなたを輝かせるの。
「時間よ止まれ」
読みたい漫画を全部読みたい
追いきれなくなった長編RPGを最新作まで全部プレイしたい
好きな曲の歌詞を見返して深掘りしたい
デッサンからプロダクトデザイン、彫刻まで、美術の基礎を勉強しなおしたい
個展を開けるくらい沢山作品をつくりたい
やるべきことに追われてやりたいことができない日常から抜けだしたい
やりたいこと全部やるには人生は短すぎる
(あとがき)
ただの自分語りです。