雑煮

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「君と見た虹」

「こっち来て!虹が出てる!」
仔犬のような急かし方をする君が腕を引く。案内に従うと、想像通りの空が広がっていた。
「きれいだね。」
「ねぇ、今から虹の端っこを掴まえに行こ?あーでも、断るとしても光の屈折の…なんかの定理の話はもう勘弁だよ。」
「プリズムの原理、ね。」
理科の成績で君に勝てたことはないし、君は同じことを3度も言わない。
「…こんな定理も僕らが虹の端にたどり着けばひっくり返る。本当にプリズムの原理によるものなのか、確かめに行こうか。」
「そうこなきゃ!さっそく荷造りしよ!!」

虹の端に興味があるフリをした僕らの旅が始まる。

2/23/2025, 12:34:12 AM