「ありがとう」
あなたのためなら何だってできた。
苦手なの?私がするね。
淋しいの?そばにいるね。
苦しいの?片付けてくるね。
見返りなんて要らないよ。あなたがいればそれでいいの。
本当にそうだったの。
ただ、ありがとうの言葉がなくなったとき、私は無敵じゃなくなった。
「未来の記憶」
あの曲をBGMに、私の走馬灯は流れるのでしょう。
流行りの曲は陳家に聴こえて、笑い声は全て嘲笑に聴こえた。そんな私でも素直に受け取れた曲。そんな人のために作られた曲。
あの曲に憧れたの。あなたの走馬灯に出演できたら、なんて烏滸がましいかしら。
「ココロ」
視界の左上には、5つの輝き。
それは奮発して買ったシャンデリア。
いつ見上げても心が躍る!少し視線を落とすと、それに似合わないゴミの山が連なっている。見なかったことにして寝ようか。
…にしても、野菜は高いし税金も高い。効果は薄い気がするけれど、電気代も節約しようかな。
翌日から、2つの電球を消してみた。一瞬赤くなった視界には、やがて少しだけ暗くなった部屋が映った。あー、これが私のココロか。
シャンデリアに明かりを灯せなくなったとき、私は真っ暗な部屋でロードもできず眠りにつく。そんな気がした。
「星に願って」
誰かのおかげで日向を歩いている人に憧れはしないわ。運が良いだけだもの。
自分の力で日向に出た人には、少し憧れてしまうわね。自分が日陰を生み出していることには、気付いていないようだけれど。
私の憧れは、日陰にいても輝ける人。
日陰でいじけているだけの私に光を届けてくれるもの。
ああ、恒星のようなあなた。私を救ってはくれませんか?
(あとがき)
女王蜂「メフィスト」の歌詞「星は砕け光る」と、女王蜂自体から着想を得ました。
「君の背中」
君はいつも私を見ている。私もいつも君を見ている。
自然と視線が交わり、唾液が交わり、感覚が交ざる。
幸せそうな君、私もお揃いの顔してる。
君はいつも私を見ている。はずだった。
もう何処に居るのか見当もつかない。
そう言えば私、君の背中を見たことがない。
どんな形をしていたんだろう?どんな荷物を持っていたんだろう?
今更、知る由もないけどね。