水晶

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2/22/2024, 7:51:05 AM

『0からの』

今年もウィンタースポーツの季節がやって来た。
小さい頃から受験の年を除いて毎年
スキー場へ行っている。

本当は何回も行きたいが距離がある為
スキーのレンタルやリフト券の他に
ホテル代と交通費がかさみ年に2回がやっとだ。

広いゲレンデも、雪の白さも
スキーを走らせる音も最高に楽しい。
やっと慣れた頃、帰らなければならないのが
悔しいが、いつかスキー検定も受けてみたい。

さあ、今日は初めてのスキーだ。
まずは歩く事から、今年も0からのスタートだ。


2/21/2024, 4:55:34 AM

『同情』

どうしてこうなったのだろう。
皆が同情の目を向けているのが分かる。
私は教室でうつむいて座るしかなかった。

ことの発端は中学のクラス対抗球技大会の日。
私の大ミスで優勝を逃したのだ。
慰める友もいたが嫌みを言う人もいて
どうしていいのか分からない心情を
後日の作文にしたためた。

それを教育実習生が授業の題材に使いたいと言う。
とんでもない!と拒否したが
本人が分からないように配慮するの条件で
しぶしぶ承諾した。

ところが授業が始まると、作文の名前こそ読まないがそのままの文章に皆が私の方を向いた。
あれほど言ったのに、配慮も何も無いじゃないか!

それから1人づつの感想が続く。
目の前に本人が居るので、皆一様に頑張った
責められるものではないと言っている。
この流れだと最後は私だ。
皆の優しさが嬉しいですとでも言えば
きっと実習生は満足なのだろう。

「皆さんの言葉を聞いてどう思いましたか?」
案の定、最後に実習生は私に聞いた。
どう答えようか。
考えていると再度、どうですか?と促された。
私はゆっくり立ち上がると‥。

2/20/2024, 6:12:46 AM

『枯葉』

今はもう無いが、母の実家は山あいの
自然豊かな所だったらしい。

何度も聞く思い出話に庭の焼き芋がある。
時期になると皆で集めた枯葉を焚いて
濡れ新聞紙とホイルに包んださつまいもを置く。
時間をかけてゆっくり燻すと甘くねっとりとした
焼き芋が出来るのだと言う。

なんて贅沢な話しだろう。
時間をかけて美味しい物を作るなんて。

今の私は日々の生活に忙しく
まるで違う環境の中にいる。

けれど一度は食べてみたい庭の焼き芋。
いつか私にも食べる機会が訪れるだろうか。


2/19/2024, 2:59:33 AM

『今日にさよなら』

いつまでも絶えることなく
友達でいよう
明日の日を夢見て
希望の道を

空を飛ぶ鳥のように
自由に生きる
今日の日はさようなら
またあう日まで

信じあうよろこびを
大切にしよう
今日の日はさようなら
またあう日まで
またあう日まで

『今日の日はさようなら』
作詞・作曲 金子詔一

2/17/2024, 10:14:45 AM

『誰よりも』

昔から自分の声の小ささは自覚していた。
普段の生活に支障は無いが、大きな声を
出す場面では出来ない自分が辛かった。

「お願いします!」
部活始めは体育館の入り口で1人づつ
先輩のOKが出るまで挨拶を繰り返す。
同級生が一発でクリアする中
私は何度やっても駄目だった。
聞こえない、それが理由だったが
精一杯の声を出しても言われるので
辛くて涙が滲み、声は益々小さくなった。

まるで自分の全てを否定されたようで
その場からいつも消えてしまいたかった‥


今、私は老人ホームで働いている。
入所中のマツさんが
「あんたの声は誰よりも優しいなぁ」
と言ってくれる。
私はその言葉が嬉しくて涙する。

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