水晶

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『同情』

どうしてこうなったのだろう。
皆が同情の目を向けているのが分かる。
私は教室でうつむいて座るしかなかった。

ことの発端は中学のクラス対抗球技大会の日。
私の大ミスで優勝を逃したのだ。
慰める友もいたが嫌みを言う人もいて
どうしていいのか分からない心情を
後日の作文にしたためた。

それを教育実習生が授業の題材に使いたいと言う。
とんでもない!と拒否したが
本人が分からないように配慮するの条件で
しぶしぶ承諾した。

ところが授業が始まると、作文の名前こそ読まないがそのままの文章に皆が私の方を向いた。
あれほど言ったのに、配慮も何も無いじゃないか!

それから1人づつの感想が続く。
目の前に本人が居るので、皆一様に頑張った
責められるものではないと言っている。
この流れだと最後は私だ。
皆の優しさが嬉しいですとでも言えば
きっと実習生は満足なのだろう。

「皆さんの言葉を聞いてどう思いましたか?」
案の定、最後に実習生は私に聞いた。
どう答えようか。
考えていると再度、どうですか?と促された。
私はゆっくり立ち上がると‥。

2/21/2024, 4:55:34 AM