定規

Open App
3/27/2023, 1:12:15 PM

“Please, open my heart.”
彼の強がりを言うその唇からは、その言葉だけが出なかった。
乾ききった心の奥底にその言葉を埋め、独りつまらない日々を暮らしていた。
彼<ヴィラン>に光<希望>は似合わない?
そうだね、けれど宝石のような光でなくとも輝きはあるんだ。
君の心まで見えるんだよ、私は。
今日もまた、君の心まで触れるために、私は君を追いかけるんだ。
“Now, open your heart!”











#二次創作
ジャンルが分かったそこの方、僕と握手!!!(クソデカボイス)

3/23/2023, 12:34:31 PM

俺の家には、人一人が映る、大きな鏡がある。
鏡を見る。
自分が映る。
「お前は何者だ?」
そう鏡に聞いてみる。
鏡からも返ってくる。
「お前は何者だ?」
その答えは永遠に見つからない。
「お前は何者だ?」
「お前は何者だ?」
「お前は何者だ?」
「お前は何者だ?」

__俺は、何者だ?





特別な存在でもない、ただ平凡な、社会のピースだ。


今日も鏡に問いかける。
「お前は、何者だ?」

3/22/2023, 1:07:37 PM

独り暮らしの夜10時。
陰気臭いマンションの9階で、今日も一夜が過ぎる。
“またつまらない一日を過ごしてしまったな”
安い缶の酒を含みながら酔いに身を任せ、鬱々とした泥濘に嵌まる。
“もし俺が、平凡だと思ったらチートキャラだったとしたら”
と、どこぞの小説家を誘うたぐいのライトノベルのような題材に思考を沈ませる。
“もし自分が平凡ではなかったことに気づいた時、俺はきっと日常からおさらばできる。
素晴らしい非日常へと歩み出し、自分の欠点や汚泥のような嫉妬や憎悪などの感情は無に帰すのだ。”

変わった日常が欲しかった。
日本刀に始まり、魔法・呪術・推理・スポーツ・歌。
二次創作に走り、世界観に没頭してみたり、好きなキャラクターを模したイマジナリーフレンドを作ってみたりした。
そしてこの世の中で言う、「正気」に戻るのだ。
すると何一つ変わらない自らの醜い現状に絶望するのである。あぁ平和。
そうさ、平和だ。
ならばその平和の均衡を崩してみようじゃあないか。


非日常の始まりだ!さぁ、道を開けろ!


唐突にワクワクとした高揚感が自身の体を突き動かす。
ベランダに通じる窓を開け、夏の生ぬるい風がまるで誘うように頬を撫でて行く。

彼はベランダから身を乗り出し、
恍惚とした表情で引力に従い落ちて、
硬くて身の詰まった西瓜を砕いたような音を立てて逝った。


それを雲の上から見ていた僕(神)はこう嗤って呟くんだ。
「バッカみたい」








__まぁ、それが面白いのだけれど。

3/21/2023, 11:46:10 AM

二人ぼっち

朝起きる。
その部屋はとても簡素。
リノリウムの白い床に、小さなベッドに、それから日記帳。
日記帳には、僕の生まれてからの日々が書き記されている。
「ねぇ、知ってる?」
__なんだい?
「今日は僕の誕生日なんだ」
__あぁ、知ってるとも。今日は僕の誕生日さ。
「ハッピーバースデー、「僕」」
__ハッピーバースデー、僕。




「私は「僕」。」
__僕は「私」。


いつか出られるその日まで、二人(?)ぼっち。

3/20/2023, 12:52:03 PM

__胡蝶の夢。
そんな言葉が頭をよぎった。
今、自分の体は本当にあるのか、
それとももうとっくの昔に朽ち果て魂だけになっているのか。
あるいはこれが夢で、現実の俺は病院の無機質な白いベッドに横たわり、眠りで重い瞼を閉じているかもしれない。


__胡蝶の夢。
指の爪の先からはらはらと、蝶が飛び立つ。
自らの体が解けていくのである。
儚く、まるで桜の花弁が風に吹かれて散っていく様に。

あぁ、こんなこと、現実では有り得ない!

しかし、今此処にある俺の視覚・聴覚・その他諸々の六感は、本当に夢なのだろうか?


__胡蝶の夢。
夢は、現実の俺が作り出した願望であると聞いた。
では、俺は「日常」と「非日常」、どちらを望んでいるのだろうか?


__胡蝶の夢。
なんと鬱くしく、美しい響きだろうか。
永遠にその世界に揺蕩っていたくなるような、
水面を漂っているような感覚である。
浮いて、沈んで、また浮いて。


__胡蝶の夢。
起きて、夢から醒めて、今日も現実に失望する。
日常は何ら変わりはしない。
ただ鬱々と、粛々と、拙い言葉で俺はこれを綴るのだ。







__胡蝶の夢?
夢が醒める前に、よぉくお考えなさいね?

Next