えむ

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11/4/2024, 4:20:46 PM

殴られた
痛いとか関係無しにビックリした
ご飯を食べた事を理由に殴られた
意味がわからなかった
食欲なんて抑えられるものじゃないし
別に食べても良いくらいに古いものだったし
用意してくれる人なんて居ないし
用意出来るお金も無いし
まず働ける身分でも無いし
そんなんだからブクブク太るんだとか言われても
平均体重より下回ってるし
なんなら殴った本人が抱いてる女よりは軽いし
ガリガリだって心配されるくらいには細いし
なのに殴られた
耳がキーンってするくらいの威力で
驚きのあまり泣いてしまった
別に泣きたい訳じゃないのに
何を考えてるか分からないって
殴られたら驚くし
ご飯を食べれなかったら頭は回らないし
寝る間も無くす程に掃除や愛人の子の面倒を見てる
学校だって行ってる
こんなんでどうやって考えを伝えろって言うんだ
もう知らないって子供みたいに言わないでくれよ
そう言いたいのは子供であるこっちじゃないか
なんでそんなに悲しげに肩を落とすんだよ
なんでそっちがそんなに苦しげなんだよ
意味わかんねぇよ
虐待してるのはそっちなのに


〜あとがき〜
虐待してる父親の方が哀愁漂っていた事実
ぶっちゃけ認めたくないってなる娘

でも娘と愛人に板挟みに合う人の気持ちってどんなんなんだろ
やっぱり愛人に媚びつつ娘には理想通りになってもらいたかったのかな

分からんねぇ
分かる訳ないか
浮気なんてした事ないし

虐待する大人の創作キャラは意外と居るけど
全員“思い通りにいかないから”って理由で虐待してる
子供はソレを受け入れざるを得ない状況にしてる
たまに爆発して反撃する子も居る

…コレを書いてる自分が1番“もの悲しい”のかもしれん

10/31/2024, 1:21:10 PM

淀んだ空気が舞う中層を歩む
最下層に比べれば安全だと謳われる場も死屍累々
弱肉強食を視界に写したような光景が広がっている

中途半端にヒビ割れた手入れの行き届いていない建物
昔は浮浪者と呼ばれ忌み嫌われてた存在がそこらじゅうを闊歩し
今日の食事を得る為に群れを成してギラギラと目を光らせていた

まるでハイエナの群れのよう

『高層では皆様の安全を第一に考え…』

そこに響くのは荒れた映像に映し出された高層の魅力を語るコマーシャルの音声
視界に広がる光景とは別次元と思わせる綺麗な最高層のビル
そして一般的な服を着れた人間達

『美しい緑に美味な食事…』

今では雑草すら珍しいこの世で花々を愛でる主婦が映され
ひもじい思いをする人間を差し置いてジャンクなフードが映され
貼り付けてような笑顔を浮かべる子供達が映される

『目指すのはこの世の全てを50年前と同じように…』

そう、50年
たった50年の歳月が世界を退廃的なものに変えたのだ
その原因が元の世界を手に入れると豪語している

「おい、お前高層出身か?」

小汚い浮浪者が垂れ下がるテレビ画面を眺める男に声をかけた
此処を牛耳る群れの下っ端か…背の高い男はチラリと一目向けてから再度テレビに目を向ける

「中層ではちったぁ名の知れたグループなのになぁ…兄ちゃんも聞いた事あるだろ?“ランプティール”ってやつだ」

捕食者を意味するドイツ語…
そのままにも程があるなと感じるグループ名だが男も人の事は言えないだろう

「奇遇だな、俺らもグループに属してる」

その言葉を合図に1人の少女…いや、美麗な子供が浮浪者の前にふわりと降り立った
華奢な体躯を柔軟にしならせ、細い御御足を顎に喰らわせる
映像に映る草原のイメージ画を思わせる青緑の髪を靡かせながら長身の男の前に立ち塞がった

「“ユズリスティシー”出身だ、ちったぁ聞いた事あるだろ?」

正義を意味するその名前を口に出した瞬間周りに群れるハイエナが散っていく
こんな世界にしたのも
こんな余裕のない人々を産んでるのも

「大丈夫ですか?マディスさん」

生命と呼ぶに相応しくない機械が目の前に在るのも

『我々“ボークスドリーム”は皆様の理想郷を実現さs…』

全て全てテレビで理想を謳うコイツらのせい

「マディスさん、情報源の破壊は控えてください」

マディスと呼ばれた黒髪高身長の男はガスマスクの下の目をギラつかせながら銀色のアメーバのようなものを操りテレビを破壊していた

ボークスドリーム程では無いが…ユズリスティシーにも超越した科学力があり、この銀色のアメーバのよつな武器もその一つだ

武器の名前は“マイラ”
今は亡き妹の名を付けたもの

「なにが“理想郷”だ、ふざけやがって…」

ただでさえ鋭い目付きがこれでもかと殺気立つ
毒霧が蔓延する中層で、マディスは顔すら思い出せない娼婦から産まれた
妹とは半分しか血が繋がらなかったがそれでも支え会えていた
唯一の肉親とも呼べる存在が消えてからは薬で感情を誤魔化す時もあった
だからこそドラッグが蔓延する中層では冷静で居られない

早く拠点に戻って…いや…
妹を殺したボークスドリームを根元から破壊して全てを終わらせたい

「…怒りを覚えるのは理解出来ます。ですが、独占的な破壊行為は仲間に悪影響を及ぼしますとボクは思考します。」
「機械のお前には分からねぇだろうな、大切な奴を殺された人間の恨みは」
「はい、ボクには分かりません。お悔やみ申し上げます。」

淡々と事実を発する“フェル”に舌打ちだけを返す
一見少女のように見える低い身長に整った顔立ち、華奢な体躯にはきちんと男性ベースのモノが存在している
薄いワンピース1枚を着て危険区域から歩いてきたと無表情で伝えられた際に隅々まで調べた結果が造り手の趣味に頭を悩ませる高性能ロボットとは思いもしなかった
技術だけ真似ようとて簡単にいかない程の科学技術の塊が人間と同じ言語を喋りコミュニケーションをとっている

「フェル、お前は“理想郷”ってのを信じるか?」
「“理想郷”というのは思想の奥底に眠る希望に明確な形を与えたものです。つまり、思想が乏しいボクは『信じていない』としか答えられません。」
「…お前には飯も寝床も要らねぇもんな」
「ボクには必要ありません。」
「こういう場所ではお前みたいなやつの方が使える」
「…ソレは“褒め言葉”でしょうか?」

皮肉すら通じないフェルはコテンと首を傾げた
ひもじい思いも厳しい寒さも感じない、安心して眠る場所を探す必要もない理想の身体が心底羨ましく感じる

「さぁな」

短い一言で会話を殺してから“理想郷”とは反対方面に向かう
ユズリスティシーの拠点は下層の至る所に点在している
中層と高層を隔てる壁から離れなければまともにクーデター1つ起こせやしない

それが今の現状だ

理想郷とは程遠い


〜あとがき〜
眠い中書いたから書き直すかとしれません
フェルくんとマディスさんはこう見えて結構仲良いです
マディスさんの皮肉とか口の悪さとか通じないから

10/30/2024, 12:06:43 PM

白1色で統一された部屋
香る消毒液の匂い
パリパリとした触り心地の患者服
厚さが感じられないシーツ

秋晴れのような髪色
柔らかな手
幼い顔
2匹の黒猫

『どうしたの?』

姉の声
落ち着く音
抱き締めたくなる色
大好きな人

今はもう居ない

『サイ、仕事だ』

名前を呼ばれたから起きる
仕事と言われたから立ち上がる
手入れの行き届いたスナイパーライフルを手に取る

『サイ、コレを見ろ』

机に広げられた地図
言われた通りソレを見やる

『サイ、この位置で待機だ』

細かな位置と丸が赤く描かれている
自分の視線を誘導するように指先がそこを指した

『サイ、今回のターゲットはコイツだ』

地図に覆い被せられるように男の写真を置かれる
手入れの行き届いていない黒い髪
荒れた肌に濁った瞳
中途半端に生えた髭

『サイ、覚えたな?』

その問いかけに首を縦に振った
“じゃあ行ってこい”と言われたから
武器1つのみで移動を始める

『アイツ寝てたのか?』
『いつも寝てるようなものだろ、返事1つしない』
『“感情”を奪われたガキか…哀れなもんだな』
『あったらあったで困るだろ、敵に同情なんかされたら俺らの仕事が増える』
『それもそうだ』

後ろから聞こえる声
ちゃんと聞こえてる

悲しいも嬉しいもちゃんとある
でも人の死は複雑過ぎて分からない
まだ生命の重さを測れない

『…お姉ちゃん…』

それでも欠けた何かを想う


〜あとがき〜
成功

10/27/2024, 11:08:35 AM

秋風に揺らされる紅葉
冷たい風を纏う木漏れ日
窓を開ければ白いカーテンが柔らかく揺れる
朝のティータイムには素晴らしい気温
素晴らしい雰囲気
胸が踊る

賑やか過ぎる音が無ければの話

『ハルトちゃん今日こそ素敵なワンナイトするわよ〜!』
『だから来たくなかったんだこんな所!』
『アラーニャまた素敵な絵描いてるね、1枚撮っていい?』
『良いよ!』
『うるさい奴らは何しに来たの?』
『分かりませんねぇ♡』
『取引きよ、夜の取引き♡』
『そ、そういうのってこんな大々的にするものなの?』
『人によるんじゃない?』
『違う!』

走り回る音
話し声
笑い声
絶叫

全てがけたたましく賑やかだ

「はしたないわ…」

紅茶の香りを楽しむ隙も無い


〜あとがき〜
ボクは賑やかなの好きだよ

10/24/2024, 11:34:51 AM

『どうして残ったの?』

秋晴れの空を移したような髪色を持つ“ベル”が問いかける
普段は自分から話しかける事の無い人見知りな子
それでいて会話が苦手な不器用な子
そして仲間思いな子だと
隣に居る40を超えた“ケンタ”は知っていた

『我が子みたいな存在が1人でも残るのなら残るだろ?』

恥ずかしげも無く、視線をズラす事無く彼は伝える
20を超えた頃に妻子を亡くし…
30超えた頃に友人を亡くし…
5年前にその忘れ形見を亡くした
今では仲間は愚か顔見知りを失う事ですら恐ろしい
ソレを理由に人を避けていたというのに大事なものばかり増えて…
今でも安全を置いて危うい場所にベルと居る

『“我が子みたいな子”なんて沢山居るじゃない』

まるで拗ねるように口をキュッと結びながらベルは会話を続ける
確かにケンタには反射的に我が子と答えてしまうような関係性の人が多い
歳が一回り二回りと離れていて目が離せない危うさを持たれれば自然とそうなるのだろうが…

『抗争が始まったのに此処に居残るって言い張る我が子は二人だけだったからな』

何故この場所が危ういかは各々充分に理解してる
区は愚か市を巻き込んだ裏社会の抗争が日本で起きたのだ
現代で此処まで治安の悪い市なんて此処ぐらいだろう
表向きは平和な街の癖して…裏ではドス黒いものが渦巻いている

『私も“テルヒコ”もなんだかんだ言って大丈夫よ』

そんな危険地帯に残ると言い張ったのはベルと“テルヒコ”と呼ばれた青年だ
明るいオレンジ色の髪を黒いヘアバンドで止めて…
憧れが止められないショッキングピンクの瞳を輝かせて…
カメラを片手に居残ると発言した我が子のような存在…基“問題児”

『せめて拠点に居ろと言ったのに…アイツは戦場カメラマンにでもなったつもりなのか?』
『かもね』

当人は四大欲求の一つ、撮影欲と言っているが周りから見ればただの奇行だ
綺麗な風景、人物、シチュエーションだけならまだしもリアリティある現場やシリアスな場面もそのシャッターに収めようとする
いわば変人という訳で…
そんな変人が集まるのが“八方組(やがたぐみ)”という組織だ

『…なんでそんなに優しくするの?』

変人の中では一般常識も良識も兼ね備えているケンタにベルは問いかける
ベルは居場所の無い孤児のようなものだ
裏社会で行われた人体実験の元になった赤子の1人
そして失敗作と居場所を終われた子
故に“変人”の部類に属している

比べてケンゴはというとそうでも無い
不幸が重なり心を塞ぎ
縁が重なり友人と共に此処に流れた
今では裏社会でも顔が効く八方組の大黒柱の一つ

そんな長く太い歴史を持つ彼の事をベルはあまり知らなかった
己を保護した女性と…育て親と顔見知りで現育て親にも関わらずまともにコミュケーションが出来ていない
変人の多い賑やかな八方組だからこそなんだろうけど…

『親友との約束だからな』

物憂げな表情でケンタが答えた
僅かに生えた口周りの髭を落ち着かないように撫でながら
苦労人を思わせる白髪混じりの髪、薄く皺が刻まれた顔、きちんと剃れと何度も言われた髭…
そんな容姿と雰囲気が哀愁を漂わせる

『そう』

親友とはどんな関係だったのか
何も知らないベルは疑問を晴らす会話を続けられなかった
素直に聞けば良いと理解してるのだけれど
哀愁漂うケンタに聞く勇気が無かった
その親友が亡くなってるのだと雰囲気で伝わったから

『ベル、ちょっと倉庫に寄っていいか?』
『何…急に…』
『おっちゃんの野生の勘ってやつだ』

いきなり哀愁を吹き飛ばすような鋭い目付きをするケンタ
その変わり身の速さに身体が強ばるベル
別に拠点に違和感は無い
強いて言うのなら人が居ないから静か過ぎるくらいだ
抗争紛れに武器を持った侵入者でも来たのだろうか

だとしても何故倉庫に?

『別にいいけど…それって嫌な予感?』
『まぁな、鈍ってれば良いけど』

ベルを不安にさせない為かケンタは深く語らない
移動する中年太りした身体をベルは追いかける
その大きな背中を見るとベルの身体の小ささを自覚する
鍛え上げられた攻撃の手段と程よく付いた防御の手段が合わせられた身体を中年太りと言うには叱られるだろう
テルヒコなら言いそうだが

ビルと言うには低く狭い建物の廊下を歩く
遠目に黒煙が映る窓の外は雨が降りそうなのか曇っていた
少しばかり土の香りだって鼻をくすぐる

八方組は裏社会で商売を目的とする組織だ
だから拠点内には数多の倉庫が点在する
まるで示されたようにケンタは1つの倉庫に向かっていた
拠点内の比較的中心部にある倉庫だ
そこには幾つもの武器がバラされ、隠されるようにしまわれている

ケンタがその扉を開けるのをベルが後ろから覗き込んだ

中にはとうに避難したはずの仲間が居た
顔がすっぽり収まるカゴを頭に被り
豊満な身体を薄い着物で包んだ女性
毛先に向かう度に黄色くなる柔らかなオレンジ色の髪を揺らしながら女は振り返った

『“カゴ”…?どうして此処に…』

その一つからカチリカチリと歪な音が鳴っていた
時計の秒針のような
タイムリミットを告げる音
そして蔓延するバラされた武器から発せられる火薬の匂い

『貴方が残ってくれて良かった』

酷く穏やかな声で“カゴ”は伝えた
渾名の元になった面隠しを取り
眉間、顎、両目の下…繋げれば四角となる特徴的なホクロを晒す
初めて晒すその顔は21の割には大人びていて
ぽってりとした厚い唇は柔らかく妖艶に微笑まれていた

ケンタは咄嗟に左手でベルの肩を掴み窓に向かって軽々と放り投げた
人体実験を受けたベルの身体が丈夫なこと
そんな身体が勢い良くぶつかれば窓が割れること
そしてこの窓の下には広めの花壇があったこと

窓ガラスは綺麗に割れてベルは重力に従い落ちていく
そしてガサガサッと音を立てて花壇に植えられた紫陽花に突っ込んだ
あまりの出来事に悲鳴さえも出なかった
とりあえず花壇から這い出ようとした矢先に大きな爆発音が耳を刺す

キィィィンと響く耳鳴りと眩い火柱
降り注ぐ窓ガラスを腕で凌いで服はボロボロになった
大きな破片が落ちてたら無事では済まない
先程まで自分が居たはずの窓から何かが投げ出される
それはボトンッと重たい音を立ててベルの眼前に
花壇から見て建物の反対側に落ちた

焼け焦げた左腕だ
肩があったであろう断面はブスブスと煙が舞い
まだ原型が留まっている左手は熱で僅かに縮んでいる

『…ぁ…』

それが誰のものかベルは気づいてしまった
でも理解したくなかった
花壇から這い出て立ち上がろうとしてもガクンと関節が折れる
落下の時に花壇の縁に足をぶつけたのか…
はたまた力が入らないのか…
痛覚を持たないベルには分からなかった

悲鳴すら出ない
嘘だと嘆く声すら出ない
ズルズルと体を引き摺りながら左腕に向かう
受身を失敗して折れた痛々しい自分の腕を伸ばして
確認するように左手を握った

そこにはケンタが大切にしていた僅かに焦げた結婚指輪が薬指に付けられていた

『…ぅ…そ……でしょ…?』

先程まで普通に話していたのだ
世間話のような…それにしては歪な
当たり障りのない会話とぎこちない距離感を産んでたのだ
きっと今日の反省日記に書かれるであろう後悔も産んだのだ

失うにはあまりにも大きな存在が
奪われるにはあまりにも大きな存在が
たかが大きな抗争のたかが小さな爆弾で
こんなに呆気なく朽ちるには…無惨にまともな形すら遺らずに逝くには

少女の絶叫では表しきれないくらいに残酷じゃないか


~あとがき~
創作のワンシーン
カゴさんは爆発物の距離的に爆散してます
ケンタさぁぁん…

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