信頼出来なくなったのは
素直になれなくなったのは
嘘をついてしまったのは
正直に話してしまったのは
上手く立ち回れなかったのは
上手く言葉を出せなかったのは
羨んでしまったのは
妬んでしまったのは
愛してしまったのは
愛せなかったのは
きっとまだ子供だから
アウターを着ないと寒ささえ感じる秋風が風が制服を扇ぐ度にバタバタと音が鳴る
思い悩む思春期を写しているかのような曇天の空は暖かな陽の光をこれでもかと隠してきた
『何処か遠くに行きたい』
届く訳でも無いのに校庭を走り回るサッカー部員に呟いた
思った以上に高い学校の屋上で独り零した
家に帰りたくないという理由で校内に居残る生徒は不良に含まれるのだろうか
転落防止柵を掴む手に力を込めた
窮屈になった上履きを脱いで
風に煽られるリボンを整える間もなく
長いポニーテールは重力に逆らおうとした
重力に従う身体とは違って
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〜あとがき〜
いざとなったら全部捨てて遠くに逃げるのも有りなんだぜ
死にたい訳じゃ無いのなら
春風が良く似合う人だった
窓から入る温もりを帯びた風が桃色の髪を靡く度に
野原に咲く花を彷彿とさせるような柔らかさを感じた
その雰囲気は強く冷たい風が吹けば奪われてしまいそうなくらいで
摘んでおかなければと
まるで欝金香のような人だった
その性格は年齢に見合わず天真爛漫で
優しげな表情とパッと開くような無邪気さが堪らなく愛おしかった
誰しもが彼女を愛す理由が悔しいくらいに理解出来るほど
だからきちんと傍に置かなければと
彼女との別れは春の終わりに近しかった
永遠にそこにあると思わせてくれるような温もりを、信じて止まない幸せを
まるで太陽が吸い込んでいくかのように鬱々と奪っていった
たかが空が春を奪うなんて思ってもいなかった
だから彼女の遺したものを守らなければと
開かない花は間引くべきで
彼女によく似た蕾を開かせて
自分のものだとこれでもかと主張した
その結果がこれか?
私達に似合うのは赤い欝金香
真実の愛だ
彼女に魅せられたと言うお前は
彼女に執着しているだけだろう?
手に入れられなかったからだ
彼女の為だと言うお前も
彼女の言葉を妄想して吐いているだけだろう?
よく理解しているという傲慢さに反吐が出る
普通はこうあるべきだ
彼女を前にして普通を求められなかった者達が
これでもかと非難しても何も届かない
彼女は特別だ
私はその特別を手に入れた者だ
お前らとは違う
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う
彼女は特別であるべきだ
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〜あとがき〜
普通、特別、愛情、家族、理想、強要、守る、傲慢、執着…色んなもの
それってなんなんだろう
そんな気持ちで書きました
愛って思った以上にグチャグチャです
綺麗ではありません
でも愛を美しいものだと思いたいです
でもあくまで願望で…そういう欲望なんでしょう
彼は檻の中で反省して我が子に会えるのでしょうか
我が子はソレをどう受け止めるのでしょうか
ボクには分かりません
『もっと簡単だと思ってたよ』
雨粒が地に叩きつけられる音の中
風に吸い込まれてしまいそうなくらいに小さな声で彼女は呟いた
『そりゃそうだよ、人は丈夫なんだから』
その声を優しく拾い集めて会話をする
会話をしてないと彼女が動けなくなりそうな気がしたから
『1人くらい簡単に殺せると思ってた』
『ガラスじゃないんだから…』
『…キミはなんで賛成してくれたんだ?』
彼女の問いかけ1つで言葉が消える
人気の無い公園にある大きな遊具を繋げるドラム缶のようなやつで雨を凌いでるから
声が無いと溶けてしまいそうなくらいに雨が響く
『キミがやりたいと言ったからだよ』
優等生と不良でホームレス狩りをした
黒い服を来て木製のバットを持って
1人の老人を襲ったのだ
『自分が無いんだな』
近隣でもよく騒ぎを起こすような人だったから
殺しても問題は無いんじゃないかとか
自分達を誤魔化しながら正義を行使した
『キミのやりたい事をやりたい自分が居るよ』
彼女は恐怖したのか震えていた
『…いくつか質問をさせてくれ』
いや、彼女は恐怖してない
『私は今どんな顔をしている?』
困惑と悦び、興奮と後悔…
『めちゃくちゃエッチな顔してる』
色んなものが入り交じった彼女の表情はとても妖艶だった
幼い顔立ちの彼女に抱いていいものではないけれど
ハッキリ言って興奮する
『表現の仕方はマイナス点だな』
彼女はその言葉に吹き出して笑った
たかが人1人、されど人1人
2人で殺したのだ
若気の至りというもので
興味本位というもので
『見つかったら捕まるかな』
『怖いかい?』
『怖いよ』
『落ち着いてるように見えるが…』
『落ち着いてはいるよ、でもキミと離れたくない』
興奮気味の彼女とは相反して自分は至って冷静だった
震えも汗も出ていない
心臓が高鳴ってるかと言われたらそうでもない
何度も凶器を振るうのは彼女に難しくても
自分には呆気ないほど簡単だった
今回の事で彼女とは違い、人は簡単に死ぬんだと
何処かで安心していた
安心してしまっていた
それと同時に彼女が居なくなるのではと不安になった
『捕まったら離れざるを得ないさ』
『…嫌だな…』
『少年院を出るまでの辛抱だよ』
平穏な日常を
くだらない日常を
つまらない日常を
壊してくれたのは彼女だけだった
『もう俺は“良い子”じゃないよね?』
歳上にも歳下にも都合が良い存在として生きてきた
勉学に励み友好関係を築き自慢の息子を演じてきた
演じている自覚が無くなるほどに
『あぁ、凄く“悪い奴”だ』
彼女が自分の問いに答えながら凭れてくる
自分は体温が高めの彼女を守るように抱き締める
どんな人間に“良い子”と称されても
彼女の“悪い子”という称賛には敵わない
やりたい事をやって
憧れたい人に憧れて
自分自身が誰の顔色も伺わずになにかを選ぶ
そうする自分を“お前は悪い奴だな”と受け入れてもらいたかった
『私は今のキミが好きだよ』
その言葉が1番欲しかった
『俺は今も昔もキミの事が好きだよ』
雨と汗と彼女の匂いが混ざる
その香りが風に攫われないように包み込んでいれば優しく頭を撫でられた
『私はいつだって変わらないさ』
ちょんと頬に触れる唇に悦んで
こんな状況でも一丁前に男な自分に困惑して
雨に濡れた綺麗な横顔に興奮して
そんな愛おしい彼女と離れ離れになるような事をしでかしたのに後悔してる
自覚が無いだけで自分も彼女と同じ表情をしているのかもしれない
『抱いていい?』
『此処でか?』
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〜あとがき〜
お題を使いなさいと言われるかもしれぬけど出戻りの身ゆえにお題を使った事があるとでしてね
ちょっとそーいう雰囲気のもの書きました
こーいう傷の舐め合いみたいに身を寄せ合う2人組凄く好きです
季節の変わり目で天気が悪いからか知らないけど具合が悪い
頭は痛いし体は重いし気持ち悪い
体調が崩れてるから心も思考も崩れてぐちゃぐちゃだ
今日は予定が無いんだっけな
あの子は何時に帰ってくるんだっけな
薬飲まなきゃいけないのにな
ていうか今何時だろうか
1日1枚は絵を描くと決めた目標
まともに出来てないんじゃないか?
ジャンジャン鳴る乞食の通知を捌かなきゃいけないんじゃないか?
いや、要らないか
どうせ報酬も来ないタダ働きだ
そこまで仲良くない人との会話は心に来る
今してもろくでもない言葉が浮かんで熱が出てしまう
向こうは友達だとか尊敬だとか言ってるけど
結局は描いて欲しいだけだったり
ぶっちゃけソレがウザかったり
嬉しく思う人も居るんだけど
自分はそうでは無い
少数派か多数派かは分からないけど
利用されてるなぁ…って感じる
イライラする
イライラしてきた
頭が痛い
もう体調悪いし変な奴切っちゃうか
こーいう理由が無いと何も出来ないし
何もやらないし
自分からまともに動かないし
元から嫌いで関わりたくないタイプなら何人切っても変わらない
ボクはとても嫌だった
向こうもどんなに急かして追い詰めても絵を描いて貰えなくてイライラしてるだろう
なら最初から切って可能性がある方に流れるべきだ
きっとお互いの為
手だけなら動かせる
頭が重い
瞼も重い
スマホの光が眩しくて痛い
ちょんちょんとアプリを開いて
DM欄を押して
アイコンをタップして
その人のプロフを見て
縦に並んだ3つの点をタップして
ブロックを押す
DM欄1番上に来る計4人
ブロックしたら身体を起こす
それだけなのに疲れた
凄く疲れた
薬を飲まなきゃ
水を持ってこなきゃ
ていうか買わなきゃ
買い物行かなきゃ
ご飯作らなきゃ
怒るのだろうか
あの子もあの子もあの子もあの子も
皆怒るのだろうか
たかが絵の乞食相手に拒絶されただけで
それくらいに心が狭いのだろうか
いや、心が狭いのはボクだ
それでいて弱いのもボクだ
たかがネットの繋がりを切るだけで
今後の心を大切にするだけで
こんなにも力が要る
〜あとがき〜
低気圧辛いですよね
ボクは歳を重ねて低気圧がダメな身体になりました
体質の変化というやつですね
何をするにも力が必要です
物理的なものより精神的なものがエグイですね
皆様も寒暖差の激しい今に気をつけて
冬の乾燥に備えましょう
ボクもリップクリームを塗ります
薬も飲みます
身体は未だに重たいです