空が煌いている
幾千の星たちが流れ
宇宙の煌めきが眼(まなこ)に焼きつく
星たちの歌声にオーロラも揺らめき
世界は光で溢れている
なんと美しく神々しいのだろう
皆が声を上げる
地上は燃え盛り
水は干上がり
大地は割れ
溶岩が溢れ出し
生命を生きたまま焼き尽くす
あぁ、なんと世は不条理なんだ
『天国と地獄』より
暗闇の中
光に向かって
走って
走って 走って 走って
いつかあの光の元に行けると信じ
走り続けたけど
あぁ
今世も辿り着けなかった
時間が足りなかった
いつの間にか
命の終わりが追いついていた
『逃れられない呪縛』より
昨日まで笑っていた君
とてもキラキラ輝いていて
僕の心をたくさんかき乱した君
いつか思いを伝えようと
いつか君の隣に立てるようになろうと
ずっと恋焦がれていた君
なのに
なぜ
そこで横たわっているんだろう
なぜ白い布が被せられているんだろう
そばにいた人が布を取り
僕は彼女と改めて対面した
あぁ
あんなに輝いていたのに
あんなに笑顔が素敵だったのに
僕ももっと勇気を持っていれば
ただただ後悔だけが募る
どんなに足掻いても
この先の未来だけは変えられない
そこに居たのは大粒の涙を流しながら
咽び泣いてる君の姿だった
もう抱きしめることさえ叶わない
『突然の別れ』より
“え?面白いことを聞くね”
僕はむっとして彼を睨みつけた
“ごめんごめん。君が面白いことを言うもんだからさ”
“愛があればなんでもできる、、、かぁ”
“そもそも愛とはなんだろうね”
“とても不確かで存在自体が不明瞭だ”
“その辺りを通ってる人に「愛とは何か」って尋ねてご
らんよ”
“三者三様の答えが返ってくるはずだから”
僕は目の前を通り過ぎる人たちを見て、視線を落とし
た
目の前には食べかけのプリンがある
“形はあるのかもしれないね”
“君の前で哀れにも粉々になったプリン”
“食べる前は形があり美味しそうに見えても”
“食べてみれば、な〜んも味のしない
ただ滑らかな食感だけが口の中に広がる”
“甘くもなく苦くもない”
“かと言ってしょっぱくもない”
“周りのカラメルソースの苦味だけが口に残る”
“それはただのこのプリンの感想じゃん!!”
僕は咥えていたスプーンを外し、彼に向けて叫んだ
“定義というものはありイメージはできるけど、その中
身は無だっていうことだよ”
“言葉にはできないということ”
僕はポカーンとした顔で彼を見た
彼は行き交う人々を見つめながら
“確かに「愛のために死んでください」や「どちら
を選びますか」なんて問答よく聞くよね”
“なんで死が前提にあるのか分からないけど”
“でも、人は用意された答えには理性を持って答え
ようとするけど、もし目の前で本当に大切な人が
危険な目にあった時、君たちは本能でどんな行動を
取るんだろうね?”
君はにやりと笑った
“それは自分の心でしかないということ”
『愛があればなんでもできる?』より
野原を白い蝶がふわふわと舞っている
私は寝そべりながらそれを見る
風に揺られ
あっちへふわふわ
こっちへふわふわ
花を探して舞っている
あぁなんて気持ちよさそうなんだ
私も飛べたらどんなに気持ちいいことか
風を身にまとい
空高く舞い
花と戯れてみたいものだ
ふと白い蝶が私の鼻に止まった
おやおや
そこは“ハナ”違いですよ
そう話しても
蝶は何食わぬ顔で鼻にとどまっている
私は蝶が驚かないように
わずかに上げた耳をゆっくり下ろした
私の黒い鼻先にいる白い蝶
なんて綺麗で可愛いのだろう
毛並みを風に撫でられながら
私はゆっくりと目を閉じた
『モンシロチョウ』より