秋晴れの空の下
加速する心拍数を隠しながら歩く私がいた。
だって今日は面接!!なのだから。
もう帰りたい。
今からUターンして家に行きたい。
そんな気持ちを心の隅に置きつつ
私はもう既に入口まで来ていたのだ。
緊張する。もう汗が吹き出そうだった。
優しく声をかけてくれる大人たちも
今は巨大な何かに見える。
面接練習では第一印象は7秒で決まるとか言われたけど
そんなの入り口でミスったら終わり。
こんなことを考えていたら
消えていなくなりたいと思ってしまう。
面接は一人だけの戦いだから怖い。
秋晴れの空に吹く風が私の緊張ごと
吹き去って行けばいいのにと私はずっと考えていた。
─────『秋晴れ』
忘れたくても忘れられない
君の温かさ。
今でも鮮明に覚えてる。
君が好きだった時の思い出。
忘れたくても忘れられない
君との別れ方。
全世界を探しても君をもう見つけられないなんて
僕はまだ君を忘れる準備もしていないのに
─────『忘れたくても忘れられない』
やわらかな光がそっと私の目を覚ます。
寒くもないし暑くもない
今って丁度いい季節。
寝起きの私を起こすために
伸びをしてカーテンを開ける。
風が吹くと少し寒いけど
私には寒いくらいがちょうどいいから
今の季節が大好きだ。
窓から伸びる光が
水の入ったグラスに反射する
少し虹色に縁取られた瞬間が好き。
朝から浴びるやわらかな光が
私に今日も頑張る元気をくれる。
今日も頑張っていかなきゃね
─────『やわらかな光』
まだ生きてるんだ。
なんでだろう。
心臓の辺りに防弾チョッキなんか着て
また生きようとしたの?
私はもう人生の幕を下ろしたいのに。
私変だって。
生きたがりの私と死にたがりの私が居るの。
何かに秀でてる訳でもないから
静かに生きてるだけなんだけどね。
たまにつまらないと感じてしまうけど
死にたいとは思いたくない。
私はいつも私を殺そうとする。
鋭い眼差しをして殺そうとするの。
体は動かせないけど見るだけは出来るなんて
こんなの望んでいないのに。
鋭い眼差しをする死にたい私と
まだ生きていたい私の攻防戦が今日も始まる
─────『鋭い眼差し』
暗い空を高く高く飛ぶあなたに憧れた。
凛とした顔をしたフクロウさん。
人間の私は貴方にはなれないから
眺めてるだけ。
君にこの思い届くといいのに
─────『高く高く』