Na

Open App
5/21/2024, 11:17:33 PM

僕は見た。

透明な膜を身に纏う人達を

それらを誰も指摘しない。

人々は帰ると膜をしまう

その膜は汚れていたり,破れていたり

様々で何故なのか分からなかった。

僕は見た。

膜が傷つけられている様子を。

僕は知った。

これは心だと。

人は無意識のうちに心に膜を張る。

僕もいつかそうなってしまうか





─────『透明』

5/20/2024, 11:08:18 PM

私の理想はあなた。

あなたのようになりたくて

あなたをいつも目で追って

いつも小さな発見があって

今日もあなたを目で追いかける。

いつか理想のあなたになれるといいな





─────『理想のあなた』

5/19/2024, 11:13:52 PM

母さんが腰を痛めたらしい。

だからこの家で動くことができるのは

俺と父さんと今年小6になった弟だけだ。

母さんは腰を痛めて動けないし

俺らは家事を毎日やっているわけじゃないから

その日の夜からドタバタで

母さんは口頭で教えてくれながら

俺らは精一杯母さんの真似事をした。

もしも母さんが死んでしまったらなんて

考えて俺は怖くなった。

母さんいつもありがとう

そう感謝を伝えたいと思った日





─────『突然の別れ』

5/18/2024, 11:29:17 PM

ご来店ありがとうございます。

本日はどのような物語をお求めですか?

恋物語ですね。

こちら種類が豊富ですので

ゆっくり時間をかけて選んでください。

昔の恋物語

今の恋物語

未来の恋物語

報われないバットエンドに

当人だけが幸せを感じるメリーバッドエンド

幸せいっぱいのハッピーエンド

恋物語なんて人の数ほどあるので

ぜひ手に取ってご覧下さい。

これは全世界の人間の記憶が

本になる世界線





─────『恋物語』

5/18/2024, 12:12:03 AM

両親が睡眠の海に沈んでいる時

私は家から抜け出した。

雨降る夜の交差点

水たまりには

傘を差す私と点滅している信号機を映していた。

真夜中月一の頻度でここに来る。

きっかけは5年前のあの日。

彼と事故に遭ったこと。

私は命は助かったが1、2ヶ月の入院。

彼は事故で命を落としてしまった。

何があったかも分からないくらい

混乱したことを覚えてる。

横断歩道を渡っている途中

彼が急に私を抱きしめ大きな衝撃があったあと

目を開けると彼から赤い血が出ていたこと。

それは一目見て大丈夫じゃないといっていて。

彼は私が無事で居ることに

安心しているような顔をしたこと。

その場にいた通行人が人工マッサージを行ってるのを

力無く見てたこと。

救急車がきてくれてそれから気を失ったこと。

目を覚ました時そこにはもう彼はいなかったこと。

5年も時間が経っているのにずっと忘れない。


真夜中人の気配が薄い時間。

私はいつも思う。

あの時私が彼の代わりになれたなら

どれだけ良かったのか。

誰の慰めも受け入れなくて

彼の両親の大丈夫も

大丈夫じゃないこともわかってて

私が大丈夫じゃな顔しなきゃ

両親も悲しそうな寂しそうな顔をして

これじゃ幸せになれなくて

彼に会いたい

そんな声は雨の音にかき消されてしまったけど

きっとすぐには死なないから


私はまだ彼を思ってるけど
もうそろそろ今に目を向けないと
これからも見守っててね

そう雨降る空に向けて言葉を送る。





─────『真夜中』

Next