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両親が睡眠の海に沈んでいる時

私は家から抜け出した。

雨降る夜の交差点

水たまりには

傘を差す私と点滅している信号機を映していた。

真夜中月一の頻度でここに来る。

きっかけは5年前のあの日。

彼と事故に遭ったこと。

私は命は助かったが1、2ヶ月の入院。

彼は事故で命を落としてしまった。

何があったかも分からないくらい

混乱したことを覚えてる。

横断歩道を渡っている途中

彼が急に私を抱きしめ大きな衝撃があったあと

目を開けると彼から赤い血が出ていたこと。

それは一目見て大丈夫じゃないといっていて。

彼は私が無事で居ることに

安心しているような顔をしたこと。

その場にいた通行人が人工マッサージを行ってるのを

力無く見てたこと。

救急車がきてくれてそれから気を失ったこと。

目を覚ました時そこにはもう彼はいなかったこと。

5年も時間が経っているのにずっと忘れない。


真夜中人の気配が薄い時間。

私はいつも思う。

あの時私が彼の代わりになれたなら

どれだけ良かったのか。

誰の慰めも受け入れなくて

彼の両親の大丈夫も

大丈夫じゃないこともわかってて

私が大丈夫じゃな顔しなきゃ

両親も悲しそうな寂しそうな顔をして

これじゃ幸せになれなくて

彼に会いたい

そんな声は雨の音にかき消されてしまったけど

きっとすぐには死なないから


私はまだ彼を思ってるけど
もうそろそろ今に目を向けないと
これからも見守っててね

そう雨降る空に向けて言葉を送る。





─────『真夜中』

5/18/2024, 12:12:03 AM