幸せになりたい。
ふと口に出た言葉だった。
自分を不幸だと思わないけど、幸せだとも思えない。
人に運を渡す彼女は言う。
「全ての人に幸せが降り注ぎますように」
彼女にとっての幸せは何なのか。
私には分からない。
だから私に幸せを分けて欲しい。
私が私の人生を幸せと感じられるようになりますように
─────『幸せに』
移動教室の授業は席が自由だ。
彼女の座る席には誰にも近づくことはなかった。
彼女の近くにいると呪われるとか
みんなそれを恐れて彼女に近づかなくなった。
そんな様子を見て
私は何気ないふりをして彼女の隣に座った。
彼女は随分自分を下に見ているみたいだった。
「私の隣に居たっていい事ありませんよ」
なんて言ってきたんだから。
「そんなの関係ないよ。」って言ったけど
彼女は信じていないようだったが
それ以降何も言わなかった。
私は純粋な気持ちで彼女の隣に
座ったわけじゃなかった。
可哀想って思ってしまったんだ。
私は可哀想って言葉は最低だと思う。
自分が優位にたっている時に出る言葉だからだ。
自分の嫌な部分を見つけたところで
授業のチャイムがなった。
明日の私は純粋な気持ちで彼女の隣を座るのだろうか
─────『何気ないふり』
私とあなた
どちらかはハッピーエンドで終わることが出来ないね。
仕方ないけど手加減はやめてね。
同じ人が好きでも譲るとか許されないからね。
彼にアピールしてハッピーエンドを手にしたい。
学校でできるギリギリで精一杯のおしゃれして
笑顔を見せて彼を惚れさせる。
彼はいつも優しくていつも笑顔で
でも彼はいつの間にか彼女が出来たみたい。
お相手はまさかのいつも静かな女の子。
正直びっくりした。
正反対な2人に見えていたのに
悔しいけど綺麗な2人だった。
そうか私失恋したんだ。
2人を視界に入れないように
すぐその場に離れて泣いた。
結局私とあなたはどちらも失敗したみたいだね。
今度はハッピーエンドを2人で掴みに行こう。
─────『ハッピーエンド』
君を目の前にすると言葉が出なくて
見つめられると体温が上がる。
ほんのり赤くなるならいいのに
赤りんごみたいに真っ赤になるから
緊張してるの
バレちゃうじゃん
─────『見つめられると』
「で...できた!!」
自分のすぐ横でそんな言葉が聞こえた。
「君はアンドロイドだよ。
名前は...そうだなーアスにする。」
すこし目を大きくしている彼は私をアスと呼ぶ。
「わかりました。」
彼は私に笑顔を求めた。
「すみません。笑顔がインストールされていません。インストールしますか?」
そう言うと彼はハッとしていた。
「動くだけで感情とかのプログラムはやっていなかったかもな...」
彼は毎日今日あったことを話してくる。
嬉しかったこと悲しかったこと
それはすべてアスには理解出来ていない。
だって、全て素人の彼が作ったのだから。
アスは毎日自分自身に問う。
where is my heart?
(私の心がどこにあるのか?)
彼の気持ちを理解できるまで
答えは出せないのだろう
─────『My Heart』