移動教室の授業は席が自由だ。
彼女の座る席には誰にも近づくことはなかった。
彼女の近くにいると呪われるとか
みんなそれを恐れて彼女に近づかなくなった。
そんな様子を見て
私は何気ないふりをして彼女の隣に座った。
彼女は随分自分を下に見ているみたいだった。
「私の隣に居たっていい事ありませんよ」
なんて言ってきたんだから。
「そんなの関係ないよ。」って言ったけど
彼女は信じていないようだったが
それ以降何も言わなかった。
私は純粋な気持ちで彼女の隣に
座ったわけじゃなかった。
可哀想って思ってしまったんだ。
私は可哀想って言葉は最低だと思う。
自分が優位にたっている時に出る言葉だからだ。
自分の嫌な部分を見つけたところで
授業のチャイムがなった。
明日の私は純粋な気持ちで彼女の隣を座るのだろうか
─────『何気ないふり』
3/30/2024, 11:03:07 PM