泣かないよ
泣いたら負ける気がしちゃうから
泣かないよ
強い子だもん
泣かないよ
お姉ちゃんだもん
泣かないよ
でも時々泣きたいよ
でもきっと泣かないよ
─────『泣かないよ』
怖がりの僕の手を引っ張って外を見せてくれた彼女は誰
あの子は僕の初恋の人
あの子の声はどんな感じだっけ
あの子は顔はどんなだっけ
あの子の名前はなんだっけ
思い出したいのに思い出せない。
怖がり僕をバカにしないで
手を引いてくれる彼女は
周りの人よりも僕よりも大人だと思った。
彼女に会いたい
今の僕は外が怖いと感じないから
強くなった僕を彼女に見せたいから。
僕は彼女を探してる。
─────『怖がり』
私は逃げた。
不安でいっぱいで考えることを放棄したかったから。
分からない自分が何したいのか。
何に興味あるのか。
将来のことなんてすぐ決まるだろうなんて思ってた。
就職か進学かそれすらも考えたくなくて
私は強い光がある方へ走った。
車の走行音も人の気配もしなくなったのに気づき
私は足を止めた。
顔を上げるとその景色は圧巻だった。
私の目には星しか入らなかった。
星の配分間違ってるよ
なんて思うくらい星が溢れていた。
私はこんな景色初めて見たと思う。
考えるのが嫌になって逃げ出したくせに
やっぱり1人になると考えてしまう
自分が何になりたくて何に興味があるのか。
でもやっぱりそこには答えがなくて
苦しくなって涙が溢れた。
このことを知ってるのは私とこの景色だけ。
星が溢れた夜空は、誰のことも受け入れるように
私たちを照らしてくれていた。
─────『星が溢れる』
安らかな瞳を私に向けて来ないでよ。
私はあなたを殺すために近くに居るんだから。
仲良くしないで
殺せなくなるでしょ。
安らかな瞳を向けたら
困ってしまうから。
あなたとの関係をいつか終わらせないといけないから
─────『安らかな瞳』
ずっと隣で私に世界を見せてよ。
時期にこの国を治めることになる彼女が
僕に向けた言葉だった。
小さい頃から見る少し高いところに建つお城。
今はそんなとこから彼女を連れ出す方法を探してる。
小さい頃は遠くからも
大きく見える城がかっこよく見えた。
いつも近くに兵士が立っているのにその日は違った。
僕はそんなこと気づけてなかった。
近くで見るとほんとデカくて
テンションが上がっていた。
ふと壁面が崩れているのが目に入った。
僕は不法侵入なんて言葉知らなかったから
くぐってお城の中に入った。
その時彼女が居た。
あなた誰?
お城の中で出会った彼女がもっと可愛く見てた。
彼女の少しつまらなそうな顔をしていた。
僕が名前を言う前に
なんか外の話してよ!
明るい声で言ってきた。
最初は戸惑ったけど
僕は少しずつ話し始めた。
楽しそう!
なんて笑顔で相槌を打っていた。
いいな〜外
それから毎日彼女に会いに行った。
そして数年経ったある日
とうとう僕は崩れてる穴に入りにくくなった。
もう彼女には会えない。
ずっと隣で彼女と話していたかった僕は
悲しくなった。
今は彼女は国を治める女性だ。
僕と彼女の身分の差に苦しくなった。
ずっと隣でいられたら良かったのに
─────『ずっと隣で』