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11/12/2023, 11:18:03 PM

「あいつといるとスリルを味わえる。」

「確か甲斐谷って奴だ。」

「普段は大人しいんだけどね。」

俺はスリルを感じたい。

刺激が欲しいんだ。

ある人に甲斐谷っていう人の居場所を聞いた。

その場所にいたのは

ヨレヨレの服を着た薄汚い人だった。

甲斐谷さんですか?

その言葉に「おう」としか返事をせずに

寝転がっていた。

弟子入りを申し込んだがいい返事は聞こえなかった。

だが追い出されもしなかったので

スリルを感じるまで俺と甲斐谷との共同生活が始まった





─────『スリル』

11/12/2023, 12:22:22 AM

飛べない鳥が見つけたのは大樹

飛べない翼が使えるようになるまで

大樹で休むことにした。

その大樹はどんな嵐からでも

守ってくれているような気がして

飛べない鳥は安心して休むことが出来た。

今ある不安も全部

大樹が包んでくれているような気がして

使えない翼が飛べるようになるまで

きっと使えるようになっても

きっと鳥はそこから離れないだろう





─────『飛べない翼』

11/11/2023, 12:05:55 AM

5時30分

少し明るくなり始めた景色が好き

お昼すぎ

太陽が真上に上がって影が下にあるのが好き

16時40分

日が落ち始めて空が赤くなるのが好き

日に当てられてススキが黄金に輝くのが好き

時間が出来たらゆっくりと見ていたいね





─────『ススキ』

11/9/2023, 11:08:26 PM

夢で見たあのシーンがやけに鮮明に残ってる。

「俺たち別れよう」

その彼の声が脳裏に焼き付いていて

せっかくの付き合って1年記念日なのに

今日の目覚めが悪いなぁ

確か夢で居た場所は近くの公園

もみじが落ちていたから秋なんだと思う。

私彼と別れちゃうのかなぁ

こんなの夢なんだからなんて

嫌な思考を切り捨てられたら良かったのに

こんな夢早く忘れてしまいたい





─────『脳裏』

11/8/2023, 11:25:05 PM

彼女は毎朝この道を走る。

時間を記録しながら。

陸上選手なんだろう。

汗を流しながら走るあの子を

いつだって心で応援してる。


私は毎朝この道を走る。

みんなの期待に応えないと

いつも彼らは「才能」という言葉で片付ける。

それが嫌だった。

こんなにも頑張っていたのに

これは意味の無いことだったのだろうか。

大会の選手に選抜された。

嬉しかったけど彼らは

「才能があるのっていいな」なんて言っていた。

嫌味とかじゃなく素直にそんな言葉を出すのが

ほんとに嫌だった。


とある大会があるらしい。

私はその大会に見に行った。

朝見かける彼女がいた。

いつもは掛けない声をかけた。

「いつも朝走ってるの見てます。いつも応援してます。」

彼女は少し目が潤んでいたが笑って

「あいりがとうございます!」と言っていた。

私もなんだか嬉しくなった。


大会の日声をかけてくれた人がいた。

毎朝走っているのを見ていたそうだった。

応援してるとも言ってくれた。

私の頑張りを

才能とまとめないでくれる人がいる事実にホッとした。

意味が無いことなんて無いかもしれない。





─────『意味が無いこと』

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