彼女は毎朝この道を走る。
時間を記録しながら。
陸上選手なんだろう。
汗を流しながら走るあの子を
いつだって心で応援してる。
私は毎朝この道を走る。
みんなの期待に応えないと
いつも彼らは「才能」という言葉で片付ける。
それが嫌だった。
こんなにも頑張っていたのに
これは意味の無いことだったのだろうか。
大会の選手に選抜された。
嬉しかったけど彼らは
「才能があるのっていいな」なんて言っていた。
嫌味とかじゃなく素直にそんな言葉を出すのが
ほんとに嫌だった。
とある大会があるらしい。
私はその大会に見に行った。
朝見かける彼女がいた。
いつもは掛けない声をかけた。
「いつも朝走ってるの見てます。いつも応援してます。」
彼女は少し目が潤んでいたが笑って
「あいりがとうございます!」と言っていた。
私もなんだか嬉しくなった。
大会の日声をかけてくれた人がいた。
毎朝走っているのを見ていたそうだった。
応援してるとも言ってくれた。
私の頑張りを
才能とまとめないでくれる人がいる事実にホッとした。
意味が無いことなんて無いかもしれない。
─────『意味が無いこと』
11/8/2023, 11:25:05 PM