透明
透き通った空に澄みきった風が流れる
水に濡れて空を仰ぎ見る君は
光に透けて消えていきそうだった
あまりにも幻想的で儚くて
目が離せなくて
だけど近づいてはいけない
気付かれてもいけない
木の影に身を潜めて息も殺して
なのに心臓はドキドキで苦しくて
あぁ、この身が透明ならいいのに
理想のあなた
背が高くって、力持ち
優しくて、頼りになる
私のことだけを愛してくれる
理想のあなた
どこにいるのかしら
私はずっと探しているのに
あなたはなかなか見つからなくって
やきもきしちゃう
年収が高くって
帰ってきたら家事もしてくれて
私のために尽くしてくれる
理想のあなた
いつまでも待っているからね
突然の別れ
だれも思っていなかっただろう
仲の良かったふたり
みんなから祝福され
何の障害もないと思っていた
僕だって、君だって
ふたりで穏やかに暮らし続けたかった
だけどそれは突然にやってきて
僕は君と一緒にいられなくなった
君の泣き顔をみたくなかった
僕も泣き顔をみられなくなかった
誰にも告げることなく
僕は君の元を去った
夜が明ければ皆大騒ぎだろう
ごめん…申し訳ない…
全ては、僕のせいなんだ
恋物語
男は女を愛し、女は男を愛す
そこには障害があり、葛藤があり
物語がある
お互いを愛しているのに
お互いがそんなことつゆ知らず
気持ちを打ち明けられずにいる
こんなに好きなのに
身分、生活環境、能力
釣り合わないと諦める
切ない恋の物語
だけど最後はハッピーで終わってほしい
読者である私は
男を愛し、女を愛し
二人が一緒であることを
尊いと思うのだから
真夜中
寝付けなさに布団からはい出る
外は未だ真っ暗で夜明けは遠い
とりあえずお手洗いに行って
冷蔵庫から水を出してコップに注ぐ
明日も普通に仕事だが
とても眠れそうにない
ダラダラとスマホをいじっているのも
なんだかもったいない気がする
本棚の前に積んである本を手にとって開く
そういえば毎日忙しくて
趣味の読書も買うばかりで
読んでいなかった
もう明日のことなんて考えるのはやめた
せっかくできた贅沢な時間
せめて有効に使ってやろう