愛を叫ぶ。
とにかく
夢中で坂道を駆け上った
我ながら馬鹿だったと思う
何も考えていなかった
息が上がりすぎて
息ができなくて
むせそうになって
でも
今叫んでおかなければ
一生後悔する
そんな気持ちで
いっぱいいっぱいだった
丘の下を走る電車に乗る君
きっとこの叫びは聞こえないだろう
それでも君の名を叫ぶんだ
モンシロチョウ
花から花へと飛び回る
奔放で、優雅で、美しい君
手を伸ばせば届きそうなのに
のらりくらりとかわされて
絶対にとらえることができない
美しい君、儚い君
どうか私の手に乗って
ひととき羽を休めてほしい
だけど願いはかなわず
君は遠くへ飛び立っていった
忘れられない、いつまでも。
通りの喧騒、蒸し暑い空気
ただようソースのかおり
出店に吊られたライトの色
夜空に広がる花火の音
そして、振り返って僕に笑いかける君
あの夏の日は僕にとって
最初で最後の夏祭りだった
そして多分、君にとっても
最期に君は寂しそうな表情で
忘れてくれって言ったけれど
遠くから祭りを見る度に
ソースのかおりをかぐ度に
花火の音を聞く度に
夏が、やってくる度に
僕は君のことを忘れられない
今までも、これからも
二度と会えることのない君を
いつまでも思い続ける
一年後
今日は年に一度の集まり
みんな思い思いに食べて飲んで語り合う
接点が特にない人も多い
ただただ、誰かの知り合いってだけだったけど
向き合って酒を交わせば
まるで旧友かのように話は尽きない
楽しいひととき
名残惜しいひととき
次に会えるのは一年後
確実に会えるという保証はないけれど
一年後、またみんな笑顔で集まれますように
初恋の日
今でも思い出す懐かしいあの日
ガキだった僕はそれがどんな感情だったか
知らなかった
ただ
君を前にして胸が高鳴って
どうすればいいかわからなくて
君に当たり散らしてつっかかっていたんだ
今思えば
あれが初恋の日だった
甘酸っぱくも切なくもなくって
喧嘩ばかりで君を泣かせてばかりだったけど
今でも忘れられない
いつの間にか会うこともなくなって
君が今どうしているかも知らないけれど
たまに思い出すんだ