木弓るん

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11/8/2023, 11:33:30 AM

意味がないこと

ソファーにごろりと横になって
クッションをちまちまと弄びながら
だらだらと君のことを観察する

君は一時たりとも無駄にしたくないのか
ささっと本を開き
パソコンに向かって熱心に何かを打ち込んでいる

僕の視線に気付いたのか
「どうしたの?」
と顔を上げる
「なんでも」
と返す僕
「また意味がないことばかりして」
呆れたように笑う君

だけど

「たまには意味がないことをしてみてもいいわね」
そう言ってパソコンも本も閉じて
ソファーにもたれて僕のクッションを取り上げる
どうやら、集中しているように見えて
行き詰まっていたらしい
「散歩にでも出てみる?特に目的はないけど」
「いいわね。着替えてくる」

うきうきと自分の部屋に引っ込む君
意味がないこともたまには意味があるのかもしれない

11/7/2023, 10:12:02 AM

あなたとわたし

背の高いあなたとちっちゃいわたし
寡黙で声が低いあなたと
おちつきがなくて高い声のわたし
大人なあなたと
いつまで経っても子供のわたし

あなたとわたしは
いつだって正反対
何をしたってかなわない

お肉が大好きなわたし
甘いものが大好きなあなた
お外で遊びたいわたしに
家でのんびりしたいあなた

あなたとわたしは
いつだって正反対
なのにあなたはいつも譲ってくれる

あなたが大好きなわたし
あなたはわたしのこと
どう思ってくれてるのかな

11/6/2023, 11:06:14 AM

柔らかい雨

静かに、しかし確かに地面が濡れ始めていた
長い干ばつに見舞われた大地は
貪るように雨粒を吸収していく

いつの間にか衣服がしっとりとしていた
だけど、帰ろうという気は起きなかった
久しぶりの雨は柔らかく、心地よかったから

先程まで萎れていた畑も
みずみずしさを取り戻していて
それはとても美しい光景だった

恵みの雨は全てを優しく満たしていく

11/5/2023, 11:11:23 AM

一筋の光

終わりだと思った
周囲は真っ暗で
身体は動かない
不思議と痛みはあまり感じず
頭は冷静だった

何かの予兆に気づいた時には
もう遅かった
何が何だかわからないままに
気が付いたらこうなっていたんだ

崩れたのは天井だけなのか
それとも建物自体崩れてしまったのか
この状況ではそれすらもわからない
今の自分には何もできない

待つことしか…

どのくらいこうしていただろうか
不意に差し込む一筋の光
声は出なかった
だから辛うじて動く左手で
精一杯地面を叩く

一筋の光はやがておおきな光となって
自分の終わりはまだ先の話となった

11/4/2023, 11:56:09 AM

哀愁をそそる

夕暮れ時の公園
僕はひとりきり
木枯らしは冷たく
木々に残った僅かな葉を
はらはらと散らしていく

特に何かあった訳ではない
いつもの日常だ
だけど
こんな日には
たまらなく寂しい気持ちになる

どんなに普段仲間と騒いでいたって
毎日が充実したフリをしていたって
結局僕はひとり
何かあった時に
頼れる人なんていないんだ

寂しい気持ちを抱えたまま
僕はひとり
帰路を急ぐ

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