木弓るん

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一筋の光

終わりだと思った
周囲は真っ暗で
身体は動かない
不思議と痛みはあまり感じず
頭は冷静だった

何かの予兆に気づいた時には
もう遅かった
何が何だかわからないままに
気が付いたらこうなっていたんだ

崩れたのは天井だけなのか
それとも建物自体崩れてしまったのか
この状況ではそれすらもわからない
今の自分には何もできない

待つことしか…

どのくらいこうしていただろうか
不意に差し込む一筋の光
声は出なかった
だから辛うじて動く左手で
精一杯地面を叩く

一筋の光はやがておおきな光となって
自分の終わりはまだ先の話となった

11/5/2023, 11:11:23 AM