木弓るん

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10/4/2023, 3:29:56 PM

踊りませんか?

フロアには優雅な音楽が流れ
人々は思い思いに談笑している
貴族の社交場はきらびやかでいて
みな腹の中を読み合っている

だから来たくなかったんだ

遠巻きから送られる値踏みするような視線
下心見え見えの挨拶をしてくる人々
そんなものから逃げるように
人気のないバルコニーに出る

おどろいたことに
先客がいた

年の頃も自分と同じくらい
彼女もまた
親に言われるままこの舞踏会に参加し
貴族たちの腹の読み合いに疲れたクチだろう

だからだろうか
つまらなさそうに空を見る彼女に興味が沸いた

「よろしければ、僕と踊りませんか?」

思わず声をかけていた
彼女は驚いていたが
嫌がらずに手を差し出してくれた

部屋の中から漏れてくる微かな音色に合わせて
君と僕は人知れずステップを踏んだ

10/3/2023, 1:21:45 PM

巡り会えたら

まだ見ぬ君へ
想いを馳せる

季節は巡り
街は刻々と姿を変えていく
日々少しづつ違う場所に立ち
街並みを見つめる

まだ見ぬ君
顔も名前も知らぬ君
巡り会えたら
それは運命かもしれない

10/2/2023, 10:11:58 AM

奇跡をもう一度

祈る
目を閉じて
組み合わせた手は力がこもりすぎて
知らず、震える
懇願に近い祈り

奇跡なんて、何度も起こるものじゃない

そんなこと理解っている
だけど、諦めきれない
自分が奇跡的にこの世に戻ってこれたように
貴方が帰ってくる奇跡を信じて

無力な自分には祈ることしかできない
けれど
神様、どうか
どうかもう一度奇跡を起こしてください

10/1/2023, 10:52:39 AM

たそがれ

空が赤く染まっていて
先程まで長く伸びていた自分の影も
曖昧になっていく

目の前に立っているのは
よく見知った姿形
だけど
感じる強い違和感

昼と夜の狭間の世界で
邂逅することにきっと意味はあるのだろう
だから問いかける

「誰だ。お前は」

この戦いに決着がつくまで
きっとこの狭間から抜け出すことはできない

9/30/2023, 11:16:30 AM

きっと明日も

それはささやななおまじない
ただの気休めかもしれないし
気分の問題

だけど

言葉には力があるっていうし
そういうことを信じたい
だから毎日寝る前に言葉に出すんだ

きっと明日もいい日になるよ

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