時間よ止まれ
時が止まってほしいのはどういう時?
楽しい時、切羽詰まった時
来てほしくない予定が控えてる時
毎日が楽しいだけならいいのに
立ち向かわなければならない明日は
必ずやってくる
明日のことを考えると憂鬱で
明日なんかこなければいいのに
時間よ止まれ
そうすれば、明日なんかこないから
だけど
いつまでもこんな堂々巡りの夜も辛い
やっぱり時間は止まらないほうがいい
辛い明日より
乗り越えた明日を楽しみにしたい
夜景
見下ろす世界は煌めいていて
まるで宝石箱をひっくり返したようだった
だけど、そんな世界が
見た目のとおりに綺麗なものではないこと
誰だって、知っている
時はすでに深夜だが
この街の明かりが消えることはない
醜いものを吐き出し続けながら
人は働き、遊び続ける
享楽、羨望、嫉妬、悪意
様々な感情が渦巻くこの街の景色は
いつだって見た目だけは取り作られている
花畑
一面に色とりどりの花が咲き乱れていた
赤、青、白、黄色…
圧倒されるほどのカーペットは
どこまでも続いていて先が見えない
方角も分からず歩くが
先が見えない
充満する花の香りに包まれて
頭もぼんやりとする
この広大な花畑の先に
何が待っているのだろう
先はまだまだ見える気配がないのに
足だけが先へ先へと進んでいく
ふと
呼ばれた気がして振り返る
そこには、あったはずの花畑がなくなっていて
真っ黒になっていた
その中から、確かに自分を呼ぶ声がする
知っている
大事な人の声だ
どうして、忘れてしまっていたのだろう
帰らなければならない
ただただ綺麗だった花畑に振り返ることなく
闇に身を投じる
「よかった…帰ってきた…」
瞳を開くと
泣き腫らした君の顔
こうして僕は一命を取り留めた
空が泣く
大粒の水滴が全てを濡らしていった
瓦礫と化した家屋
くすぶって黒い煙を上げる木々
地面に倒れ伏したまま息絶えた人々
時折慟哭の音を上げながら
破壊された街を濡らし続ける
長く続く戦争に
空も悲しく思っているのだろうか
人の気配も喧騒もなくなったこの街に
雨音だけが寂しく響き続けていた
君からのLINE
君からの連絡はいつだって突然
気まぐれに
沢山の世間話で終わることも多い
でもいつも楽しそうで
僕はいつだって君に引き込まれてしまうんだ
毎日ひっきりなしに届くこともあれば
一週間くらい音沙汰ない時もある
焦らしてるのかな
僕を試してるのかな
僕からの連絡もなかなか既読にならなくて
すごく心配になっちゃうんだよね
そうやって、久しぶりにきたLINEだから
たくさんお話しているうちに
君に会いたくなっちゃうんだよね
会える関係じゃないって、わかってるのにね