命が燃え尽きるまで
誓いを立てよう
生涯君を愛し続けよう
君が悲しい時は寄り添い
困った時は力になろう
君に笑顔でいて欲しい
君の喜びを共に分かち合いたい
幸せな人生だったと
最期には思って欲しい
君に尽くし、君を守ろう
この命、燃え尽きるまで
夜明け前
明けない夜はないなんて
誰が言い出したのだろうか
この街はついに長かった夜が明けようとしていた
城壁の上から見下ろせる限り
先程までの喧騒が嘘のように静まり返っている
だけど、確かに
今この瞬間城の中では
最後の戦いが行われているのだ
追い詰められた城主は
志の高い若者に倒され
街は圧政から開放される
長い夜が明けた時
若者はどのような夢を語るだろうか
傍観者はただ静かにその時を待っていた
本気の恋
女のコたちが集まったら
必然的に始まるのが恋の話
あの人がかっこいい
あの人が好み
ずっとあの人のことが好き
適当に相槌を入れながら
でもほとんど聞いているふり
かっこいいとか
好きとか
全然わかんない
男のコと付き合ったこと
ないわけじゃない
だけど結局
恋って感情がわからなかったんだ
本気の恋
アタシにも訪れる日がくるのかな?
カレンダー
やっとのことで見つけた民家は
雑草が生い茂っており見るからに廃墟であったが
生活感があるな…
玄関には揃えられた女物の靴
脱ぎ捨てられた子供の靴
どちらも、経年劣化でぼろぼろになっている
床の状態から靴を脱がずそのまま上がる
テーブルの上にはマグカップ
錆びた缶に入った色鉛筆
変色したスケッチブックには
お花の絵が辛うじて残っている
一体何時から
この家の時は止まってしまったのだろうか
壁にかけられたカレンダーは9月
何年のものかは…いや
一番後ろのページに、次年のカレンダーがついている
「にせん…ろくじゅうさん…」
思わず、声が震える
知らず背中に汗がにじむ
これは、自分の知らない未来のカレンダーだ
自分は本当に未来に飛ばされてしまったのだろうか
人ひとり見当たらないこの時代
一体、何が起きているのだろうか…
喪失感
街角で君に似た後ろ姿を見つけた
そんなはずはないのに
思わず追いかけて、顔を見て
ひとり、落胆する
街は喧騒に包まれていて
空は青く、吹く風は穏やかだ
いつも通りの平和な日常の中で
僕の心はからっぽだった
動かなくなった君と再会した時も
仲間たちと君を埋葬した時も
平静を保っていたはずだったのに
こんなにも、何も手につかないなんて
今はただ、空を見上げて
もう二度と会えない君に
思いを馳せるしかなかった