木弓るん

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9/9/2023, 11:04:01 AM

世界に一つだけ

元気にしていますか?
僕は今、色んな国を旅しています
毎日見るもの触れるもの新しくて
同じ景色は二つとないくらい

だけど、たくさんのものを見て
思うことがあるんだ
僕にとっての世界に一つだけは
君しかいないんだって

帰ってきたら真っ先に君に会いたい
世界に一つしかないお土産を見つけて
世界に一人しかいない君に会いに行くんだ
迎えに来てくれるかい?

君にとっても
僕が世界に一つだけの存在でありますように

9/8/2023, 1:45:13 PM

胸の鼓動

身長差がある私と君
抱きしめられると
私は君の中にすっぽりと収まってしまう

君の顔は私には見えなくて
私の表情も君からは見えない

私は目を閉じて
ただ、君の胸の鼓動だけを感じていた
かなり早く感じるのは
気のせいじゃないよね

私の胸の鼓動を君も感じる?

ドキドキしてるよね
少し、恥ずかしいな
恥ずかしいから、
もう少しこのままでいさせてほしいな

9/7/2023, 11:56:22 AM

踊るように

突風に、紙の束が舞い上がる
持ち主が慌てたように紙を回収しようとするが
風に舞う紙はするすると手からすり抜けていく

まるで踊っているみたいだ

微笑ましく見守っていると
一枚の紙がこちらに飛んでくる

あっ、拾って…いや、見ないでー!

悲鳴を上げながら持ち主が走ってくる
目の前で躓く
何とか拾い集めたらしい紙束が
再び盛大に宙に舞った

視界に入ったのは丁寧に描かれたスケッチ

なるほど

前へ進み出て、舞った紙を集める
共に踊るのも、悪くはない

9/6/2023, 10:40:23 AM

時を告げる

静かに。ただ、その時を待っていた
疲れ切っているはずなのに
頭の中は妙にクリアで
不思議な感覚だった

まるで、時が止まっているようだった
早くその時が来て欲しい
永遠に来て欲しくない
相反する思いを抱えて、待っていた

どのくらいの時が過ぎたのか

静寂を破る鐘の音
どうやら、その時は来てしまったらしい
ずっと無表情だった男はわずかに顔をしかめ
宣告を受けに向かう…

9/5/2023, 10:40:36 AM

貝殻

貝殻を耳に当てると海の音がする

誰がそんなことを言い出したのだろう
そんなことあるわけないじゃないか
都合のよい幻想だ

そんな風に思っていたから
たまたま目の前に現れた貝殻を手に取ったのは
何気なく耳に持っていったのは
本当にただの気まぐれだった

なのに

貝殻を耳に当てた瞬間景色が切り替わる
広がる深い青
磯の香り
寄せて返す波の音

同時に
どうしようもなく悲しい感覚に襲われる
苦しく、切ない

どのくらいそうしていたのか

ふと、何かに呼ばれた気がして
何も疑問を感じることもなく
海の中へと消えていった

それは呪いの貝殻
その世界に引き込まれてはいけない

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