花畑
一面に色とりどりの花が咲き乱れていた
赤、青、白、黄色…
圧倒されるほどのカーペットは
どこまでも続いていて先が見えない
方角も分からず歩くが
先が見えない
充満する花の香りに包まれて
頭もぼんやりとする
この広大な花畑の先に
何が待っているのだろう
先はまだまだ見える気配がないのに
足だけが先へ先へと進んでいく
ふと
呼ばれた気がして振り返る
そこには、あったはずの花畑がなくなっていて
真っ黒になっていた
その中から、確かに自分を呼ぶ声がする
知っている
大事な人の声だ
どうして、忘れてしまっていたのだろう
帰らなければならない
ただただ綺麗だった花畑に振り返ることなく
闇に身を投じる
「よかった…帰ってきた…」
瞳を開くと
泣き腫らした君の顔
こうして僕は一命を取り留めた
9/17/2023, 12:06:21 PM