茶園

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12/31/2022, 11:35:50 PM

短い小説 『良いお年を』

 真夜中。世間はまさに年を越そうとしていた。
 とある村では、住民みんなが浮かない顔をしていた。その村にはある事情があった。

 村が廃止されるのだ。法律の関係で、“市”という大きな町に吸収されるのだ。市に吸収されると一体どうなるのだろうか。都市開発で村を壊されるのかもしれない。これは単なる想像に過ぎないが、何だか村が村でなくなる気がして、不安で、複雑な気持ちになってしまう。

 山の麓に広がる田や畑の地平線。これらをいつも活気よく耕す農家たちも、この日は農具を手にすることはなかった。

 村の人たちは集まった。この村が自分達だけの領域でなくなる前に、みんなで村の景色を眺めながら思い出を語り合おうと思った。
 みんな、数えきれない程の思い出を持っており、話が尽きることはなかった。それくらい、この村はとても大事に思っている。


 年が明けるまであと数分。みんなは黙り込んだ。
漠然とした不安を持ちつつ、村が終わる最後の瞬間を迎えようとしている。どうあがいても、時間は目も耳もくれず、無情に過ぎてゆく。
 そびえ立つ山、地平線を描く田や畑。まるで地球の果てまで続いているかのようだ。このまま、全部この景色になってしまえばいいのに。
 「消えてしまうのかな」住人の一人が言った。
 少し沈黙が流れてから、他の住人が言った。
 「消えないさ。それに、消えたとしても、私たちはずっとこの村の住人さ」
 みんなも同じ意見であった。未来への一筋の光を信じ、新しい年を迎える。
 “市”になっても、この村が良いお年を迎えれるように。

12/29/2022, 8:33:23 AM

冬休み中にやりたいこと

・寒中水泳
 冬ならばプールは絶対に寒い。プールの前後に浴びるあのシャワーも寒い。夏だって冷たいのに冬に浴びたら恐らく気絶ものだ。
 ではなぜ寒中水泳したいのか?それは夏にプールに行けなかったからだ。久しぶりにプールに入りたく、水着まで買ったのに、行く暇がなくなっていた(言い訳)。あと純粋に寒中水泳に挑戦したい。
 泳ぐと全身運動になり、身体全体の筋肉をバランスよく鍛えれるらしい。水泳選手が皆スタイル良いのは、その為だ。私も体力をつけて、あんな風になりたい。

・もつ鍋
 人生でもつ鍋を一度も食べたことがない。見た目からしてホルモン尽くしの鍋というような感じ。九州を代表するとても美味しい食べ物らしいが、私のお口に合うのだろうか。
 近くの店に、もつ鍋を取り扱った店がある。噂によれば焼きモツがとてつもなく旨いのだとか。鍋料理は冬にうってつけだから、冬休みのうちに行かねば。

12/21/2022, 4:58:34 PM

大空を渡る

・空は世界を包む天井だ。人々に安らぎと幸せを与えてくれる素晴らしい天井だ。
 そんな天井は時に床になることもある。塩湖には空がそのまま映し出され、まるで空だけの世界になるという。その塩湖の上を歩けばまるで大空を渡っているかのように感じるだろう。

・大空は、限りなく広い通路だ。どこにでもどこまでも行ける自由の通路だ。そのためか、鳥や飛行機があんなにものびのびと空を飛んでいる。人間も空を飛べる技術がもっと発展すれば、恐らく空を飛んで移動する人が増えるのだろうな。

 将来空の町が出来てそれを渡る。何だか楽しそうだ。

12/17/2022, 8:46:11 AM

風邪について思い浮かんだこと

・『風邪』ほど曖昧で大雑把な病気はないと思う。
 風邪の症状は多岐に渡り、他のほとんどの病気にも当てはまる。
 ちょっとしんどかったり、声が変だったりすると大体みんなは「風邪引いたの?」ときいてくる。
体調を崩せば『風邪』という言葉で片付けれるなんて、まるで『風邪』は全ての病気を表しているかのようだ。

・風邪は至るところに潜み、人間にいかにして忍び込むかを常に模索している。だから人間も常に油断せずに対策している。お互い休みなくそれをしているのだからどちらも大変で、立派である。

 風邪はいつ暴走するか分からない。二年前はコロナとして暴れ回っていたのだから、恐ろしいものだ。今日も、そんな風邪に侵されぬよう体を鍛えるぞ。

12/15/2022, 4:06:35 PM

短い小説 『イルミネーション』

 街中はすっかり夜に包まれ、ちらほらと街灯がついていた。
 駅前では沢山のあらゆる光が目映く光り続けているが、駅から少し離れたこの町はどうしても光が少なくなってしまう。

 深夜。住民が寝静まっている町を、一人の影がうろうろ歩き回っていた。彼は雷夢という男だ。
 雷夢はとある能力を持っていた。
 町の民家や道路、植え込み等をまじまじと見て、悲しくなった。深夜の町は改めて暗く寒いと感じた。
 雷夢は左右を見て誰もいないことを確認し、両手を広げた。するとみるみるうちに民家やそれを囲む塀、木々にイルミネーションが出来上がった。彼の能力で町は一気に明るくなった。
 自分でも思わぬ結果になり、ちょっとやりすぎたかと戸惑った。と同時にどこかのドアが開く音がした。雷夢は急いでその場を離れた。

 ドアから出てきたのは小さい子供だった。眠れなく、外の異変に気づいたのか、外に出たようだ。
 子供は明るくなった町に一瞬だけ、思わず目を瞑った。もう一度目を開け、町がイルミネーションで絶景になっていることが分かり絶句した。
 「キレイ…」その子は、イルミネーションを見たことがなかった。見たこともない景色に感動し、素晴らしい日となった。
 このイルミネーションは、その後も町全体を輝かせてくれることとなった。

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