茶園

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11/19/2022, 12:29:39 PM

キャンドルの灯り

・あの時のことを思い出す。災害で停電になった時のことを。
 数時間で元に戻ったが、初めての私にはドキドキワクワクしかなかった。こんな感情になる人は多分いないだろう。
 暗闇の中、学生時代に作ったラジオを引っ張り出し、スーパーの弁当を開けて食べた時のことも覚えてる。あの味はいつもと違う味に感じた。新鮮な体験で本格的な災害ごっこだとか変なことを言ったものだ。
・こんな時こそ、キャンドルがあればより雰囲気が出て楽しめただろうに。そうでなくとも、キャンドルの火は電気に全く頼らないでいるから、災害時にあればかなり有り難い。

 電気で点くキャンドルの明かりを眺めた。やはり癒される。だが、本物のキャンドルの灯りは、この明るさに加えて、火の暖かさがある。その小さくも
しっかりと燃え上がる火は、より心の芯まで暖め癒してくれるに違いない。

11/16/2022, 8:44:02 AM

短い小説 『子猫』

 「可哀想に、この猫、棄てられてるんだってね」

 声を聞き、声のする方へ顔を向けた。
 そこには、小さな段ボールがあった。段ボールには小さく、“生後1ヶ月です”と書かれていた。
 段ボールは見た感じ新しく、置いてからまだ2、3日しか経っていなさそうに見えた。
 二人の人間は同情だけして去っていった。段ボールからか弱い声が聞こえる。たまらず段ボールの方に駆け寄った。
 子猫一匹。虎猫であった。生後1ヶ月で棄てるとは、とても育てる余裕がなかったのだろう。酷いことをするものだとは言えないが、この子猫のことを考えると、もう少し良い方法があったのではないかと思ってしまう。
 両手でゆっくりと持ち上げ、抱いてみた。肋骨が微かに出ている。明らかな栄養不足だ。このままでは取り返しのつかないことになるだろう。

 拾いたい気持ちは山々だが、うちにも飼えない事情がある。うちの家族で動物が嫌いな人がいるのだ。見つかったら、大変なのは目に見えている。
 だが…

 こっそりと飼えば、大丈夫かもしれない。
 リスクはあるが、不可能ではない。

 そう思い、子猫を服の中に入れ、どうするか考えながら家へ帰る。

11/15/2022, 9:00:49 AM

短い小説 『秋風』

 何もない空間。空も灰色で草も灰色に染まった、現実の世界とは思えないような殺風景な世界。
 その世界の中で、ここがどこか分からず、何も持たずに茫然と立ち尽くしている男がいた。
 男は顔を上げる。その先には、鮮やかさとはかけ離れた、雲何一つない空。霧も風もないため、灰色なのになぜか、鮮やかに見える。この矛盾は皮肉としか言えない。

 ここに来てから、どのくらい経ったか。
 男はもはや、時差ボケや曜日ボケなんてする余裕もなかった。道に迷った末、ここで長く過ごしてきた。今では何もかももう慣れてしまった。

 ある日、草原が少し揺らぐのが見えた。
 最初は気のせいだと思ったが、草が歪み、空も僅かだが歪んだ荒い波紋のようなものが見えた。草や空は、低く透き通るような音で囁き出す。肌に乾いた涼しい空気が通った。

 ああ、風だ。

 それに、この風は秋の風だとすぐに分かった。
 何もなく、何も感じることがないから少しの風でも敏感に感じ取れる。
 秋風で秋を実感する。
 ああ、今は秋なんだなと現実の風を受け止め、自分は生きていて異世界ではないことを確信し、安心する。

11/14/2022, 9:50:52 AM

また明日会おう

・誰にでも、会いたい人、会うと安心する人がいる。
 どんなに嫌なことがあっても、明日が不安でも、その人に会えば全て忘れられる。昨日も今日も明日も幸せに感じられる。
 そういう時は大抵相手もそう思っているものだ。
相手も同じように昨日、今日、明日が嫌でも、貴方といれば全部幸せに変えられる。

・そんな人はいない?それならじっくりと私の話を読むと良い。私のじゃなくても良い。このアプリは心癒される空間なのだから。

・“またいつか会おう”なんて寂しいこと言わず、幸せなひとときはいつまでも、いくらでも味わう権利はあるのだから、会いたい時に会えば良いではないか。このアプリも、読みたい時に読んで良いのだ。

 それで今日が幸せになれれば、また明日も幸せになろう。また明日も安心できる人や空間に会えるよう、祈っています。

11/12/2022, 7:35:30 PM

スリルについて思うこと

・何もしてこなかった私にとっては、何もかもがスリルだ。初めてすること、まだやったことがないことをやってみたいという気持ちがあるが、何が起こるか分からず、躊躇してしまう。
・でも、どんなに安全志向の人でも、平坦な毎日が続けば、マンネリしてくることもある。私でも、そんなことがあるから、何かやってみたいという気持ちが起こるのだ。
 それに、心のどこかで、新しい自分を見つけたいとか、強い自分になりたいとかそういう願望を抱いているのだろう。
・スリルは、ある意味人生を豊かにするものなのかもしれない。そう信じ、私は深夜のバイトに挑戦する。

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