未来までの記憶を辿った途中の今
もう答えは出ているんでしょう
どうせ聞かないくせに 誰かに聞いてみる
澄ました態度で 一体 誰に向けて何を騙しているの
「何でもいい」という言葉
愛読書みたいに何度も使って
そうすれば選ばずに済むから
自分を守りたかったのかも
鏡の奥 見つめ返す 卑怯者
選ばされたみたいな顔して
実は全部選んでいた事
あの日、僕の世界には、決して明けぬ夜が訪れた。
僕を中心とした、深く、暗い、闇い夜だ。
気が付けば何時だって、
姿と声と匂いと温度を思い出して、
瞼の向こう側と間違い探しをしている。
何百、何千、或いはそれ以上の出会いを以てしても、
たった一人分の穴が、こうも寂しいものだとは。
彼が太陽だとすれば、僕は月だっただろう。
そう、“俺達”は彼岸花に似ている。
警鐘が鳴る。
眼を閉じれば、
暗闇の中の篝火みたいに、あの日の事が浮かぶ。
その風景を眺めている内に、
ドス黒い炎が本当に私の中で燃え上がるのを感じ、
その度に慌てて眼を開けて鎮火させる。
何度か繰り返す内に、眠るのが少し怖くなった。
警鐘が鳴る。
街の中にある、ありふれた雑音が、
あの時、耳にした不協和音と重なる。
例えば、雨の音。
例えば、雑踏。
遂には、誰かの声すらも。
耳を塞げば、それはより鮮明に聴こえて仕様がない。
思考は迷路の中。
いや、解っている。
眼を逸らしているだけで。
ただそれは………。
警鐘が鳴る。
虚しく、急かすように、警鐘は鳴り続けている。
お互いを知らないから
出会うまでの時間を 取り戻すみたいに
ようやく解ってきたのに
明日がこれまでに戻そうとしている
止まる筈は無いと 解っているけど
止まってくれと祈る 最後の日
言葉に直る前に
次々と生まれてくる この気持ちが
もっと話をしなくちゃ
つまらない事でも 勿体無いからと拾っている
僕等の間に 一体 どんな言葉があっただろう
君を無くしても、当然生きていけるけど、
君を無くしたら、生きられない気がしている。
出会った日からずっと、たぶん夢を見ている。
そして遂に、そんな曖昧な夢に答えを出す時が来た。