あの日、僕の世界には、決して明けぬ夜が訪れた。僕を中心とした、深く、暗い、闇い夜だ。気が付けば何時だって、姿と声と匂いと温度を思い出して、瞼の向こう側と間違い探しをしている。何百、何千、或いはそれ以上の出会いを以てしても、たった一人分の穴が、こうも寂しいものだとは。彼が太陽だとすれば、僕は月だっただろう。そう、“俺達”は彼岸花に似ている。
8/6/2024, 5:32:53 PM