予定の多い月だね。
ねね!明日放課後遊ぼ!
"あ~、ごめん!明日買い物があってさ…"
ねーねー!明日こそ!遊べるでしょ!?!?
"笑笑そんなに遊びたいの?笑、ごめん!明日もちょっとした予定があるんだっ!"
明日でもう9月じゃん!8月遊べなかったんだからさ〜、明日こそ遊ぼーよー!
"ごめん。今月少し、「帰ってこられない」んだよね。本当にごめん!!"
だって私達…
「本当に2人って仲良いよね〜!付き合ってるんじゃないの〜?」
「別に。」
幼馴染だったらこの距離感は普通だと、私も幼馴染も思っていた。
だけど、周りから見たら普通の距離感では無いようだ。
「俺と付き合う予定だもんな〜?」
幼馴染の膝の上に座っている私に顔を覗くように、幼馴染は聞いてきた。
正直私は恋愛とかあまり興味は無い。
スマホをいじっている私は適当に返事をしておいた。
「そうだねー(棒)」
「男子の膝の上に乗るって、カップルとかしかやらない事だよ!友達でも出来ないなぁ…」
「幼馴染は違うんじゃない?私は別にこいつの事を"友達"としか思ってないし。」
私がそう言うと、"友達"の幼馴染の顔は少しだけ、不満そうな顔に見えた。
でも、私達はただの幼馴染で、"友達"でしょ?
ありがとう…ありがとう、
これが妻の口癖だった。
妻は「ごめん」より先に「ありがとう」を伝える人だった。
俺はそんな妻が何より愛していた。
何か人にしてもらったとき、ミスを庇ってもらったとき、俺はいつも見ていたんだ。
「ありがとう、ごめんね。」
妻は必ず人の恩は返していた。
だけど、その自分の価値観を人には押し付けなかった。
本当に俺の付き合いやすい人だった。
高校2年の頃、俺は屋上で彼女と約束したんだ。
「卒業したら結婚しよう。」
子供の時の小さな夢さ。
今となったら、金だのなんだのと考えてしまう。
だけど、子供はそんな汚い大人の考えなんざ全くもしないのだ。
その時だって彼女は、
「ありがとう、私、貴方が私の横を歩く日まで待っているわ。」
そう言ってくれたんだ。
本当に、俺の一生の宝物のような"幻想だった"。
物憂げな空
「たく…、今日はもう良いから、お前さんは早く帰れ。」
学校の先生に濡れ衣を着せられ怒られた。
私は何もしていないのに、完全な合成の写真を信じて、責められ続けた。
今日は部活もあったけど流石にやる気も出ないから、無断欠席をした。
「…い…ゆい!!!大丈夫か…!!」
「わっ…びっくりした…」
幼馴染が何故か焦ったような顔をしながら、私の事を追いかけてきていたのだ。
「お前、濡れ衣を着せられてただろ!!何で反抗しなかったんだよ!!」
幼馴染は私の肩を掴んで、怒ったような何だか悲しそうな顔をしながら私に言った。
「これが何度目だと思ってるの…?もう、反抗する気力も無いよ…、皆、私だったら何でも良いって思ってるし…。」
最初は何回も反抗し続けた。
だけど、これが何度も続くと、呆れとか出てくるから気力も無くなってくるの。
誰も助けてはくれない。大人もクラスメイトも皆、見て見ぬふりをして、自分が巻き込まれるのを怖がる。
「……俺が彼奴等を殺す。絶対に彼奴等だけは許さない。」
「何でそう行くの。別に殺さなくても…」
「罪も無い俺の大切な奴がここまでズタズタになってるのに何もなしに彼奴等を許せるかよ!!!」
幼馴染は私にそう言い、ふり返りもせずに家に向かっていった。
私は何だかスッキリもしなかった。
「殺す…か…、」
私は思わずその場に立ち尽くしてしまったのだ。
身動き出来ない時に見えた空は、何だか物憂いの空に見えた。
小さな命
「ふぅ…」
家庭環境が劣悪の中、中学生の私はまともに育つ訳でもなく、今日もタバコを楽しく吸う。
そこには小さな命のガキだって、私をキラキラとした目で見つめている。
「ん…、何。お前もこれ、気になるの?」
「お姉ちゃん、なーに?それ。」
片手にくまのぬいぐるみを抱えながら、小さな手で私の手を掴む。
「わぁっ……、危ないぞ?これ、火だから。」
「ひ?危ないの?」
そっか。こいつ、親にまともに教育されなかったのか。
このぬいぐるみだって、私がクレーンゲームで誕生日プレゼントとしてあげたやつ。
私とこいつの親は喧嘩か、浮気をするだけ。
「お前、親は好きか?」
私は優しく、こいつの目線と合わせて聞いてみた。
「んー?大好きだよ!おかーさん、優しいもん!」
無邪気なこいつの笑顔に私は何か気付かされたような感じがした。
「小さい命の目は盲目なんだな。」