「なあなあ!!少しぐらい外に出ろよ〜!!笑」
「ウザい!!」
毎朝バカ早い時間にそう言ってくる。
何回も拒否ってんのに、ずっと俺を外に出そうとしてくるのだ。
「……」
「…?寒いのか…?」
お前はいつも人の気持ちとかを気にしているのか、俺の気持ちとか、すぐに察していた。
「俺とコンビ組まねえか!?」
「何でだよ笑」
そうやってすぐふざけて、俺にツッコまれてた。
だけど、それが次第に俺は楽しくなっていたんだろうな、
彼奴が休んでたりすると、一日中暇になったりするからな。
だけど…
「あれ、明日どっか行くの?」
「ああ笑…俺、山に親父と登ってくるんだぜ!羨ましいだろ!!色々持ってくるわ!!」
だけどさ…
「…では、次のニュースです。二日前、〇〇山に二人の男性の遺体が発見されました。死因は落下死とされています。」
「こんな終わり方はねぇだろ…」
-寒さが身に染みて-
私の夢
「はぁ…で?進路どうすんの?」
「先生のお嫁さんに行く!」
「ふざけんのも大概にしろよ…?」
私は一切ふざけてなんかいない。
これが私の本心なの。
私は先生が、世界で…いや、宇宙一愛してるの!!
先生は私にすっごく優しくしてくれた。
今もこうやって2人きりの空間がずっと続けば良いのに!って思ってるの!!
皆は先生の事、怖いとか言うけど、そんな事は一切無いの。
親切で優しい先生。
「だからさ…先生?結婚しよ?」
社会不適合者
「すみません、少し身体に蕁麻疹が出たので今日は休ませていただきます。」
なんて嘘を僕は言い続ける。
学生の頃から周りに馴染めなかった僕は、周りの同級生たちが青春を味わっている時に働いていた。
だけど、本当に働くのは嫌だ。
毎日同じところに行って、雑用係をさせられたり、同じ場所に何時間も突っ立っているだけ。
しかも、お客さんには迷惑な方もたまに居る。
「何で他の店はあるのにここは置いてないんだよ!!!」
寝不足なこっちからしたら、そんな小さな事を思いっきりキレられると、頭に来てしまう。
「んなの関係ねぇだろうがよ!!ネットの情報だけで生きてんだよジジイ!!!」
とか言い返して、何回も店長に怒られた。
自分中心の世の中になってしまえば良いのにって何回も考えた。
朝起きるのも嫌だった日は無断欠席だってした。
周りの環境にも馴染めない僕は、行き場所なんて何処にも無いのだ。
「あーあ、どっかのボッキュンボンのお姉さんが僕の事を拾ってくれたりしないかな。」
…
変な妄想してないで仕事に行って働いています。
結局人間という生き物は。
私達は、沢山の経験を積んでも、また"あの日"と同じように此処に来ていた。
「また会いましたね。」
なんて言葉を交わして、此処の橋の下にある湖を2人で眺める。
私達は死んで、また生き返ってを繰り返していた。
どんなに残酷な事があろうとも、私達は時の運命に逆らう事は一切出来なかったのだ。
「人間という生き物はどんな時になろうとも、どんな運命に会おうとも、結局同じでしたね。」
「結局人間は死んでしまったら何も残らないのに、財産に食いついていた。何だか疲れてしまったね。」
どれぐらい生きている時に勉学に励もうが、死ぬ気で仕事をしてようが、身体が限界を迎えてしまえばそれで終わりだ。
国のために無駄死をした人間達も居た。
「今日はいつもより月が綺麗に見えるよ…。
もう、いっその事遠くへ行きませんか?」
雪
私はお婆ちゃんの家の雰囲気が大好き。
人生で初めて行ったときに、何だか懐かしい雰囲気を感じたからだ。
何処かで見たことがあるような、でも来たことが無いような、何回も来たくなる。
「あいちゃん、今日も来てくれたんだねえ〜、ありがとう。」
お婆ちゃんに対しては何にも感じないけど、ここの家に覚えがある。
たまに、夢にも出てくるんだ。
「何だか来たことがある場所…、でも、それ以上の記憶が無いし…、」
夢に出てくる場所は、お婆ちゃんの家と、チラチラと雪が降っている場所。
本当にうろ覚え。
「お婆ちゃん。私ね、何かここに来たことがある気がするの。雪がチラチラ降っていて、お婆ちゃんの家の雰囲気が何だか懐かしいの。」
お母さんに、私が物心付く前に来たのかも聞いてみたけど、お母さんは来てないって言ってた。
「本当かい…?もしかしたら、前世の記憶なのかもしれないね。私にも子供が居ったから。」