紅みかん

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12/13/2022, 1:27:07 PM

あなたに多くの愛を注いでもらった

クラッシック音楽の心地よさ
手料理の温かさ
知識を得ることの喜び
誰かを焦がれることの苦しみ

あなたから貰った何もかもが
温かく優しい雨のように私に降り注ぐ
傘をさす暇なんてあたえてくれない
その柔らかさを一滴も逃さないように私は掬う

隣にあなたがいなくなったとしても
両手いっぱいに貰った愛を零すことはできない
だって、もう私という人間を形成する一部となってしまったから……

12/11/2022, 2:37:31 PM

どしゃぶりの雨のように陰鬱な思いを押し殺して
あなたに祝福の言葉を送る。
顔に無理やり貼り付けられた笑みが引きつっては
いないだろうか?
純白のドレスを纏ったあなたは美しくて
目をそらせない。
けれど何でもないフリをしていつもの俺を演じ続けた。

きっと引き出物はバームクーヘンだ。

12/10/2022, 2:00:14 PM

誰も俺を認めてくれはしない。

望んでもないレールを引いてくる親。
蔑みの笑みを向けてくる同級生。
奇異の目を向け、目障りそうな顔をする周りの奴ら。

現状を変えることすらできない己に
ますます嫌気が差してくる。

「申し訳ありません。お怪我はありませんでしたか?」

次の講義まで時間がなく急いでいた俺は
背の高いスーツ姿の男にぶつかった。
男は丁寧に謝罪すると俺のカバンから飛び出して
地面に散らばった物を集めていく。

「おや、あの有名大学の学生さんでしたか!」

拾い上げた学生証と俺の顔を交互に見ている。
サングラスからチラリと覗いた目はさぐるようで
俺の行き場のない思いを見透かされることが怖くて
顔をそらす。

「ああ、どうも」

俺は拾ってくれたお礼を無愛想にして
学生証を奪いとった。

「あなたは優秀なようだ。どうです?
 私たちの仲間になりませんか?
 我々はあなたのように変えのきかない優秀な人間
 を求めていたのです」

男は愉快そうに笑っていた。
その笑みは不気味でありながら
俺は目が逸らせないでいた。

11/13/2022, 2:51:55 PM

「来世があるのなら君と一緒に幸せになれるかな?」

荒れ果てて硝煙の匂いが香る戦場で貴方は呟いた

「ああ、きっと世界も平和になって俺たちも幸せに
 暮らせる」

俺の返事を聞いて貴方は満足そうに笑みを浮かべる
俺たちを隔てるものは数多ある
身分、戦禍、人種、性別
この世界に輪廻転生があり、新たな人生を歩め
俺たちに塞がる全ての障害を取り除くことが
できるならばこんな幸福なことはないだろう

そして貴方に新たな戦場への招集がかかる

「また会いましょう」

そう言って君は一人で戦地へと赴いた

一週間後に俺のもとに届いたのは
貴方の名前が刻まれたドッグタグだけだった

俺はドッグタグにキスをする
それが貴方への最初で最後のキスだった

ドッグタグを首にかける
これからもずっと一緒だ

もし貴方が語ったように来世があるのならば
生まれ変わっても貴方を絶対に見つけだしてみせるよ

11/7/2022, 1:48:55 PM

あなたとわたしの違いなんて
たった一つしかない

ただ誰かに引かれたレールを歩むことしかできないあなた
ただ従順に純粋に命令に従う日々
けれど誰もあなたを愛してくれはしなかった

心が壊れてしまったあなたは
あなたを苦しめてきた人々に復讐を始める

わたしにはあなたを咎めることはできない
だってあなたは
あの日わたしの手を握って連れ出してくれた彼と
出会うことができなかった
もう一人のわたしなのだから

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