孤都

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1/12/2025, 1:48:13 PM

     #あの夢の続きを


    一度、瞼を上げれば――

   穏やかに笑っている家族が居て、

   何気ない会話を繰り返し、

   ゆっくりと時間が過ぎていく。



    二度、瞼を上げれば――

   暗く、淀んだ世界が広がっていて、

   孤独の影を落として座る、

   一人の青年が鏡に姿を映す。

   
    三度、瞼を上げれば――
 
   明るく、綺麗な銀世界の雲上から

   その青年を心配そうに見つめる、

   穏やかに笑っていた家族たち。



    あるとき、笑顔で穏やかな家族は

   神様の悪戯によって、バラバラに引き裂かれ、

   青年は、孤独の影を落とす。


    その青年の姿を銀世界の雲上から見つめる、

   神に引き裂かれた青年の家族たち。



    青年は毎晩、

   家族との幸せな思い出の夢を見ては、

   魘されている。



    青年は毎日夢を見ては神に乞う。


    あの夢の続きを見せてくれ――と。

1/4/2025, 1:05:32 PM

      #幸せとは


   幸せってなんなん?

   家族と、恋人と、友人と、大事な人等と居ることか?

   何気ない日常を繰り返すことか?

   健康な体でおることか?

   何が幸せなんやろ。


   俺の……幸せ言うんかな…………。

   願望、みたいなもんがある。

   でも叶うことはのうて、心に描いては消えるもん。

   例えば、母親の嫌いな部分を消してしまう。

   例えば、人が居らん空間をつくる。
 
   例えば、仲ええ人だけの世界をつくる。

   例えば、辛い思いも苦しい思いもせん環境をつくる。

   例えば、死にたいと思えんくらいに楽しい世界を
  つくる。


   どれもこれも叶いそうで叶わん夢。

   俺が描く理想の世界であり、願望、幸せやと思う。


   みんな、「小さい幸せが大事やねんな」言うけど、
  小さい幸せってなんなん?

   どこからが小さくて、どこからが大きいん?


   幸せってどうやって掴むん?

   幸せ言うんは、俺ら人間の体のどっかに空いた
  穴を埋めるために、自分の理想を埋めるための、
  言葉なんやない?

   人間によって、人間のためにつくられた、
  自分を保つための、生きるための、逃げ場やん。

   






   幸せってなんなんや。

1/4/2025, 4:37:35 AM

      #日の出


    澄み渡る空気。

    霧に包まれる山々。

    呼吸をすると、肺の中がひんやり。

    薄暗い空を見上げ、山々の間に目を向ける。

    そこから顔を出したもの。


    それは、先程まで薄暗かった空を――
              淡い朱色に染めた。


    あぁ、ここからまた新しい1年が始まるんだ。

    うるさく鳴り響く鼓動に、自分の生を自覚する。


    何度見ても、心を豊かにするそれは――
                  日の出という。

1/3/2025, 12:22:01 AM

      #今年の抱負


   今年の抱負。

   そんなもの、考えても意味が無い。

   努力して、努力して、どう足掻いても、結局は全て
  水の泡になり、俺の中の小さな夢が儚く消えるだけ
  だから。

   それが結果として出ているから。

   それでも、もし、1つ上げるとしたなら……。


   身体中に繋がっている針やら管やらから解放されて、
  グラウンドを友達と走り回ることだ。


   ……まぁ、こんな世間では当たり前のことも実現
  できないのが現状なのだけれど。

   高1までは、お正月とかの行事ごとを大事に
  する方だった。

   年明けには、親戚の家に新年の挨拶回りに行き、
  初詣にも行き、書き初めもした。

   もちろん、その年の抱負も家族で発表し合うことも。

   でも、高1の時の年末、事件に巻き込まれた。

   父さんに大掃除に使う道具やらの買い物を頼まれて、
  近くのスーパーに寄る。

   ふと、自分の筆記用具が不足していることを思い出し
  その類いのコーナーに向かおうと足を進めた時だった。

   自分の胸の辺り――いや、心臓かもしれない。

   背後にいた、同級生くらいの彼に刃物だと予想する
  もので刺された。

   刺された瞬間、何が起きたのか把握出来ていないまま
  足は崩れ落ち、刺された部分が燃えるように熱くなり、
  その場で、自分の血に塗れながら倒れた。

   幸い、命は助かったものの、刺された場所が悪く、
  かれこれ3年、ずっと個室の病室で医療機器に身体を
  拘束されている。

   刺した彼は、あそこで自殺しようとしたらしい。

   彼の家の家庭環境が最悪で、彼自身もとても追い込ま
  れてしまい、精神が尋常ではなかったため、近くにいた
  いかにも幸せな家庭に生まれた子に見えた俺を刺して
  しまったというわけだ。

   俺は、自分の自由を失ったからといって、彼を恨んで
  も、憎んでもいない。

   人それぞれ抱えるものがあるように、
  彼も、一般の人には抱えきれないものを持っていた
  から。

   普通の高校生が背負わなくていいものを、
  溢れさせただけだから。

   本当は、いつ溢れてもおかしくない状況なのに、
  今まで、我慢して堪えて、俺に頼ってくれたから。

   俺を刺したのだって、本心じゃない。

   でも、あれは彼なりのsosのサインだったから。

   俺を刺したことで、周りの大人は彼の抱えているもの
  に気づくことができたから。

   俺は、自分を多少犠牲にしたけれど、彼のsosを
  受け取る事ができた自分を誇りに思うから。




   そう言い聞かせて、どうにか3年もの間を、
  やり過ごしてきた。

   できるものなら、解放されたいんだよ
  ――でも、その夢は叶わないから。


   それから2年後、病室にあの彼がやってきた。


   まず、俺に頭を下げて深く謝罪し、感謝した。

   そして、精神的に病んでいた俺に、ずっと待ち望んだ
  希望を与えてくれた。


   大学2年生、俺は4年間を経て、拘束から解放され、
  サークルに入り、グラウンドを駆け回っている。

   あの日、彼は、高度な医療技術と知識を身につけ、
  病室にやってきたのだ。


   その彼の技術や知識に救われて、今の俺がある。


   1年の抱負なんて、考えずに諦めていたけれど、
  今年は、彼の支えになること、にした。


   これからは、お互い支え合って肩を取り合おうと
  約束したから。 

12/31/2024, 10:29:27 AM

    #良いお年を

 
   え?!もう年明けるの?!?!

   今年の1年、早かったなぁ……。

   1年の終わりの日だという自覚が無いまま、
  1年を締めくくるのは少しむず痒い気がするけど、
  みんな、今年1年ありがとう。

   この1年にいろんな思い出があったと思うし、
  沢山の気持ちや想いも溢れただろうな。

   悔いのある人もない人も、幸せだった人もそうでは
  なかった人も、夢が叶った人も叶わなかった人も、
  1年、お疲れ様でした。

   今年、芽生えた幸せは、来年もっと大きく育んで
  ――。
 
   そうでなかった人も、来年、小さな奇跡の積み重ね
  から成る幸せを見つけられますように――。


   
   次にくる1年が、みなさんにとって、意義のある、
  幸せな一年になるよう願いを込めてここに記す――。

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