『宝物』
君がくれたこの気持ち。
君に会えるだけで、楽しみすぎて夜眠れない。
君に会えた時、途端に鼓動がうるさくなる。
君が笑ってくれると、僕の心は幸せで心が
いっぱいになる。
全部、全部、君が僕に教えてくれた気持ち。
君に出会うまで、知らなかったこの気持ち。
誰かを"好き"になる気持ちより、
もっと大事で温かい、誰かを"愛する"気持ち。
今日は、感謝の気持ちを込めて――。
僕は、君と生涯を共にしたい――。
僕と、結婚してください。
『キャンドル』
キャンドル。
僕は、それを命の灯りと同じだと思う。
人の、命の灯りが燃えれば燃えるほど、
寿命が縮んでいくように、キャンドルも灯り続けると
溶けて縮んでいく。
キャンドルに灯された灯りが尽きるときは、
人で言う、寿命が尽きるとき。
キャンドルの灯りと、命の灯りは、同じなんだ。
『たくさんの想い出』
辛い。
苦しい。
悲しい。
休みたい。
疲れた。
生きる意味ってなんなの。
死にたい。
色んな想いで溢れた――僕の心。
『冬になったら』
冬になったら、二人でマシュマロホットココアを飲む。
寒くなったら、二人で身を寄せて、こたつで暖をとる。
雪が降ったら、二人で雪合戦をする。
クリスマスの日は、二人でケーキを食べる。
大晦日には、二人で年越しそばを食べる。
お正月は、二人で手を繋いで初詣に行こう。
二人で、美味しいものをたくさん食べて太ろう。
俺らには、明るい未来が広がっている、はずだった。
お互いに、自分の未来を想像した時、二人一緒が
当たり前で、それ以外の未来なんて頭には無かった。
これからも、二人一緒に生きていこうって決めたのに。
もし、誰かに引き離されても、絶対に迎えに行くって
言った。
でも、天と地じゃ、追いつこうにも追いつけねぇよ。
「冬になったら、どんな楽しい思い出をつくろうか」
冬が近づいてから、ずっとその話しかしなかったのに。
冬になって最初にできた思い出が、お前の葬式になった 俺の気持ちを考えてくれ。
毎年、冬が来るたびに、そんなことをずっと考える。
待ちに待った、冬が来たあの日。
お前は、辺りが真っ暗になっても帰ってこなかった。
冬が来たから、公園ではしゃぎまわっているのだろう、
とも考えたけど、あまりにも帰ってこなくて、悪い予感が
した。
しばらくして、1本の電話がかかってきた。
相手は、ずっと待ってたお前だろうと思い、
すぐに電話に出る。
でも、電話は見知らぬ警察からで、用件を聞いたとき、
最悪な現実から目を逸らしたくなった。
凍結した路面でスリップした車に巻き込まれて、
帰宅途中のお前は死んだ。腕に大きな花束と、結婚指輪を
抱えて――。
その花束の、血の飛んだメッセージカードには、
「僕と結婚してください」という、俺宛ての
プロポーズの言葉が記されていた。
俺が先に言おうと思ってた言葉。
そんな言葉は要らないから、生きて帰ってきて欲しかっ
た。
冬になって、最初の出来事がお前の死――。
未だに、現実を受け止めきれていないけれど、
俺は今年も、お前のいない、一人の冬を迎える――。
『はなればなれ』
輝きを失った目、悲しさが滲み出た表情、
喪失感からの涙。
普段、表情に出ない親戚も今は泣き崩れている。
俺は「絶対に泣かない」と決めたのに。
周りの大人が泣き崩れていたら、瞳の奥に溜まった
涙なんて、我慢できずに溢れてしまうだろ。
顔を出し、棺桶の中を覗く。そこには、冷たくて、
綺麗な花に包まれた、両親がいた。
何度、「父さんっ」「母さんっ」と呼んでも、
いつもの微笑みの混じった返事は返ってこない・・・・・・。
冷たくなった二人の手を握って、自分の体温で
温めようとしても、二人の手の温度は上がらない。
何をしても生き返ることはない、とわかっている
はずなのに。
どうしたら二人が生き返るのか、ただ、それだけを
考えた。
今日は、両親の葬式だ。
両親が棺桶に入る姿を見るのは、もっと先だと思って
た。
俺はまだ、高一だよっ・・・・・・。
俺の両親は、駅で電車を待っていた時、隣で線路に
突き飛ばされた子どもを救おうと線路内に入ったと
いう。
突き飛ばされた子どもは救うことができたが、
両親は電車が来る前に、線路内から脱出することが
叶わず、電車に轢かれてしまった。
二人共、その場で即死が決まった。
両親は、結婚してからずっと行けていなかったから、
新婚旅行に行く予定だったんだ。
二人で楽しい時間を過ごしてもらいたくて、
俺は新婚旅行の参加を辞退した。
だから、約1ヶ月は両親と離れ離れになることに
なっていた。
でも、まさか「はなればなれ」が永遠になるだなんて
想像もしてなかったよ・・・・・・。