孤都

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11/26/2025, 9:00:36 PM

    #時を繋ぐ糸

    小さいときにおじいちゃんにもらった糸電話。

    秘密を共有しているみたいで楽しくて、
     
    ずっとおじいちゃんと話してた。

    中学生になってもずっと。

    でも、その日は必ずやってくる。

    おじいちゃんがいなくなる日。

    いなくなってから気づいた。

    おじいちゃんと僕との間に流れる時間は同じでも

    スタート地点が違って、最期までふたりで居られるとは

    限らないこと。


    今となってはもう懐かしい糸電話。

    だいすきなおじいちゃんと僕の時間を

    あの糸が繋いでくれていたんだ。

11/24/2025, 12:28:29 PM

   #君が隠した鍵

   心因性記憶障害だと医者に言われた。

   君は何も覚えていない。

   名前はもちろん、恋人である俺のことも。

   思い出してよ。
 
   教えてよ。

   君はどこに記憶の鍵を隠したの。

11/24/2025, 1:39:20 AM

     #手放した時間


    あるとき、友達が僕に言った。

   「無駄な時間だったな」と。

    それを言われたのは、僕が失恋した瞬間であった。
   その言葉を受けて、少し違和感が残ったのを覚えている。

    たしかに僕は恋をしていたけれど、付き合いたいとか
   自分のものにしたいとか、そんな思いはなかった。

    じゃあ、それは恋というのか、と聞かれたとして、
   僕は間違いなく首を縦に振るだろう。
 
   だって、この気持ちが恋である自覚があったのだから。

    大多数と同じように、その特定の人物に会えれば
   嬉しくて胸がいっぱいになるし、目で追ってしまうし、
   声も仕草も知らないうちに記憶している。

    友達と同じような存在でなければ、推しでもないのだ。

    たしかに恋だった。

    それでも付き合いたいとは思わない。

    僕にとって、彼への恋のゴールはそこじゃない。

    まあ、多少は独り占めしたいとか思ったりもしたけど
   彼の幸せを一番に優先したかったんだと思う。

    綺麗事じゃない。僕なりのエゴだ。

    彼の幸せそうな顔に、人付き合いが上手いところに、
   時折見せる誰かへの想いに満ちた目に僕は惚れたから。


    彼の恋が実ったとき、同時に僕の恋は散った。

   少しチクッとしたけれど、悲しみで溢れることはない。


    だって、彼が幸せそうな顔をしてたから。

11/16/2025, 1:39:26 PM

   #君を照らす月





    君と初めて出逢ったのは満月の綺麗な夜のこと。

    ひとりで月を見つめ、それに照らされている君がいた。

    一目惚れだったよ。

   綺麗だけど、どこか消えてしまいそうに儚くて。

   守りたいと思った。手を握って離したくないと。


    月の見えない昼には無邪気な笑顔をぱっと咲かせる君。

   そのギャップもまた愛おしいんだ。


    今もこうして、あの時と同じように2人、月を見てる。
 
   すぐ近くにいるのに抱きしめられないもどかしさ。

    また君を美しく照らす月が少し憎くて羨ましい。



    ねえ、月が綺麗だよ――。

8/22/2025, 3:50:59 PM

    # Midnight Blue


   君は、夜になるといつもサングラスをかける。
  

   太陽も出ていない暗い夜になぜサングラスなのか
  ずっと疑問に思っていた。

   そして1つ、他のサングラスとは違う点を見つけた。

   それは、君の瞳が全くと言っていいほど見えないこと。

   まるで、スキー用のゴーグルをつけているように。

   しかし、今日、僕は知ることとなる。

   君が日のない影を落としたような夜に瞳を隠す理由を。

   日中は茶色く透き通った瞳を魅せる君だけれど、
  深夜になるとその瞳はとても深い紫みの青色に染まる。

   深海のように深く深くにある青に魅せられて引き寄せられて
  いくようだった。

   そんな力が彼の瞳にはあったのだ。

   君は変だから、と必死に隠そうとするけれど、
  僕は思ってしまった。

   ああ、なんて綺麗な瞳なんだろう。

   いつか、その瞳に吸い込まれたい――と。

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