孤都

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1/17/2025, 11:37:04 PM

      #風のいたずら

     ひらり、

     1枚の布がめくられる

     あせり、

     少女は顔を赤色に色づける

     ぱちり、

     別の少女はめくられた布の下を見る

     

     ふわり、

     淡色のハンカチが空を舞う

     あせり、

     青年はハンカチを追いかける

     はらり、

     ハンカチは散っていく花びらのように落ちた

     どきり、

     ハンカチを取ろうとした青年二人の手が重なる

     

     ひらり、はらり――

     ふわり、あせり――

     ぱちり、どきり――


     風のいたずらはときに、

     新しい恋を紡ぐ――


     風のいたずらから始まる、

     恋の一ページ――


     風のいたずらから始まる、

     青春の一ページ――


    ふわり――今日もまた、

    風がそっとあなたの背中を押す



1/16/2025, 11:44:25 AM

     #透明な涙


   君は、僕に涙を見せることが一度もなかった。

   なぜかと、尋ねたら君は笑って答えた。

  「時間は有限と言うように、お前と一緒に過ごせる
  時間も、限られてるんだ。だから、泣く暇があるなら
  笑って過ごしていたいんだよ」

   僕はその言葉に涙した。

   なんで僕が泣いてるんだって、君は慌ててたよね。

   でもさ、泣かずにはいられないよ。

   嬉しくて、切なくて、幸せな気持ちが溢れてしまう
  から。


   それでも、君の涙を見てみたかった。

   強がらなくてもいいから、弱いところをさらけ出せる
  関係でいたいから。

   たとえ、その涙が悲しいものでなくてもいいんだ。

   嬉し涙でも、幸せ涙でも、感動したからでも、
  涙を見せるということは、相手に心を許していること
  同じだから。


   僕は君に心を許してほしかったのかな……。

   そんな風にふと、考えることがよくあった。


   こんなに早くに君の涙が見れる日が来るなんて、
  思ってもいなかったけれど。


   ごめんね、ごめん。

   こんなことになってまで、君に涙を流してほしかった
  わけじゃないよ。


   ごめん、ごめん。

   僕は、涙を流しながら僕の手を握る、君を隣に、
  生死を彷徨う――。


   こんな時に、こんなことを考えるのは
  良くないのだろうけど――


   あぁ、やっぱり、君の涙は透明で綺麗なんだね。

1/15/2025, 1:04:52 PM



     #あなたのもとへ



     この世界で一番、

     愛おしく想う

     あなたへ

     何度、言葉を紡いでも

     足りないけれど

     伝えたいことは変わらない

     
     言葉を紡いでも

     紡ぎ足りない

     この想いを

     天国にいるあなたのもとへ

     

     貴方への想いに気づくことが

     こんなにも遅くなってしまったことを

     悔しくおもう――

1/12/2025, 1:48:13 PM

     #あの夢の続きを


    一度、瞼を上げれば――

   穏やかに笑っている家族が居て、

   何気ない会話を繰り返し、

   ゆっくりと時間が過ぎていく。



    二度、瞼を上げれば――

   暗く、淀んだ世界が広がっていて、

   孤独の影を落として座る、

   一人の青年が鏡に姿を映す。

   
    三度、瞼を上げれば――
 
   明るく、綺麗な銀世界の雲上から

   その青年を心配そうに見つめる、

   穏やかに笑っていた家族たち。



    あるとき、笑顔で穏やかな家族は

   神様の悪戯によって、バラバラに引き裂かれ、

   青年は、孤独の影を落とす。


    その青年の姿を銀世界の雲上から見つめる、

   神に引き裂かれた青年の家族たち。



    青年は毎晩、

   家族との幸せな思い出の夢を見ては、

   魘されている。



    青年は毎日夢を見ては神に乞う。


    あの夢の続きを見せてくれ――と。

1/4/2025, 1:05:32 PM

      #幸せとは


   幸せってなんなん?

   家族と、恋人と、友人と、大事な人等と居ることか?

   何気ない日常を繰り返すことか?

   健康な体でおることか?

   何が幸せなんやろ。


   俺の……幸せ言うんかな…………。

   願望、みたいなもんがある。

   でも叶うことはのうて、心に描いては消えるもん。

   例えば、母親の嫌いな部分を消してしまう。

   例えば、人が居らん空間をつくる。
 
   例えば、仲ええ人だけの世界をつくる。

   例えば、辛い思いも苦しい思いもせん環境をつくる。

   例えば、死にたいと思えんくらいに楽しい世界を
  つくる。


   どれもこれも叶いそうで叶わん夢。

   俺が描く理想の世界であり、願望、幸せやと思う。


   みんな、「小さい幸せが大事やねんな」言うけど、
  小さい幸せってなんなん?

   どこからが小さくて、どこからが大きいん?


   幸せってどうやって掴むん?

   幸せ言うんは、俺ら人間の体のどっかに空いた
  穴を埋めるために、自分の理想を埋めるための、
  言葉なんやない?

   人間によって、人間のためにつくられた、
  自分を保つための、生きるための、逃げ場やん。

   






   幸せってなんなんや。

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