孤都

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     #あの夢の続きを


    一度、瞼を上げれば――

   穏やかに笑っている家族が居て、

   何気ない会話を繰り返し、

   ゆっくりと時間が過ぎていく。



    二度、瞼を上げれば――

   暗く、淀んだ世界が広がっていて、

   孤独の影を落として座る、

   一人の青年が鏡に姿を映す。

   
    三度、瞼を上げれば――
 
   明るく、綺麗な銀世界の雲上から

   その青年を心配そうに見つめる、

   穏やかに笑っていた家族たち。



    あるとき、笑顔で穏やかな家族は

   神様の悪戯によって、バラバラに引き裂かれ、

   青年は、孤独の影を落とす。


    その青年の姿を銀世界の雲上から見つめる、

   神に引き裂かれた青年の家族たち。



    青年は毎晩、

   家族との幸せな思い出の夢を見ては、

   魘されている。



    青年は毎日夢を見ては神に乞う。


    あの夢の続きを見せてくれ――と。

1/12/2025, 1:48:13 PM