孤都

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12/26/2024, 7:47:59 AM

     #クリスマスの過ごし方


   クリスマス、戸籍、人種を関係なく人々に幸せを
  与えてくれる日。

   クリスマス休戦をご存知だろうか。

   国同士の争いで、戦争をするため兵士として巻き
  込まれた者達がいた。

   ついさきほどまでは、一人ひとりが、会ったことも、
  話したこともない人間を傷つけ合い、己の命を守ろうと
  必死になり、その場は殺意や敵意の思いで満ちている。

   でも、あの日は、味方も敵も関係なく、ただ同じ人間
  として遊び、はしゃぎ回ったあの日は、クリスマスの日
  だった。

   クリスマスに休戦した戦争のことを、
  クリスマス休戦と、人は言う――。

12/24/2024, 12:23:04 PM

     #イブの夜

 

  「イブ」と聞くと、誰もがクリスマスイブを
 思い浮かべるだろう。

  クリスマスイブといえば、カップル達が街に出て、
 かじかむ手を握りしめ合いながら、イルミネーション、
 とやらを見に行き、街はたくさんの恋が飛び交うことに
 なる。

  他にも、普段より豪勢な食卓を家族で暖かく囲んだり、
 白くて丸い、赤い苺が乗ったホールケーキを求めて、
 クリスマスの明るいBGMが流れる街へと赴き、長蛇の列の
 一員となる。

  そして、子供にとっての夢であり、最大の楽しみと
 言えるのは、やはり、サンタクロースからのプレゼント
 だろう。

  子供たちにとって、自分の望んだプレゼントを届けて
 くれるサンタクロースは、どのように映っているのか
 わからないが、この時期になると、さぞかし、夢を膨ら
 ませて大きく見開いた目をきらきらと輝かせることだろ
 う。

  その希望と大きな期待を胸に、輝く瞳を見た大人たちは
 そんな期待を裏切らないためにも、また、長蛇の列の一員
 となり、我が子のために他の客と争いを繰り広げるのだ。

  今日は、そんな、クリスマスイブ。

  クリスマスこそ、明日ではあるが、世ではイブの方が
 人気である。

  今夜も――街中のたくさんのサンタクロースが、11匹の
 トナカイを引き連れ、子供の喜ぶ姿を思い浮かべながら、
 子供の成長を願い――プレゼントをそっと、贈るのだ。


  イブの夜――子供達も大人達も、心の中が幸せで
 満たされる夜のこと――。

12/22/2024, 8:52:16 PM

   #ゆずの香り



  僕の実家はゆず農家で、学生時代、実家住みだった時は
 毎日、家の中がほんのりと、ゆずの香りがして、湯船には
 幾つかのゆずが、ぷかぷか温かそうに浮いていた。

  都内の大学に進学することになった僕は、春から、
 実家を離れて一人暮らしすることになる。 

  一人暮らしともなれば、家事や身の回りの事は
 自分でやらないといけないし、金銭面も慎重に考えねば
 ならない。

  上京してから、大変なことは山積みだけれど、
 一人暮らしで1番変わるのは、甘酸っぱく、
 優しく包み込んでくれるような、ゆずの香りが無くなって
 しまうということだ。

  幼い頃から、あの香りに包まれて育ってきたせいか、
 両親と離れるくらいに、心にぽっかりと空くものがある。

  そんな、ちょっとした、贅沢かもしれない悩みを
 抱え、高校を卒業した春、僕は上京した。


  時は流れて、6月。

  常に忙しい雰囲気に包まれつつある東京にも、
 田舎に似た優しさや、温かさがあることに気がつき
 始めた、この頃だ。

  日曜日、今日は大学もこれといった予定も入って
 おらず、1日のんびり過ごそうと、マグカップに
 コーヒーを注ぎ、少し大人な香りを楽しむ。

  ほっと、一息ついていると、インターフォンが鳴る。

  ドアの向こう側にいたのは、恐らく、配達物と思われる
 ダンボールを持つ、顔立ちの整った、爽やかな配達員の
 お兄さんだった。

  荷物を受け取り、部屋の中まで運ぶ。

  送り主は、両親からのもので、ダンボールが相当な
 重さだったので、一体、何が入っているのかと、
 恐る恐るダンボールを開けた。

  開けると、僕が密かに待ち望んでいた、懐かしい、
 甘酸っぱく優しい香りが瞬く間に、部屋に広がった。

  送られてきたダンボールの中には、たくさんのゆずや
 母親がつくったであろう、ゆずのジャム、父親作のゆずの
 バスボムなど、大量のゆず関連のものが入っていた。

  これが、世で多く感じられるという、実家からの
 仕送りのありがたみ、なのだろうか。

  早速、ゆずと母親お手製のゆずジャムを手に取り、
 コーヒーを飲み干して、ゆず茶とゆずクッキーを焼いた。

  ゆずをふんだんに使った、ティーセットを楽しみ、
 部屋に広がる、実家と同じ香りに満たされながら、
 僕の一人暮らしは続いていく。


  第二の故郷と言うように。

  ゆずの香りは、僕の第二の親といっても過言では無い。

12/21/2024, 2:06:27 PM

    #大空


  一点の曇りもなく、一目見て、その純粋さと
 清い心を知らしめてくる、そのきらきらと輝く瞳には、
 どんなに綺麗な世界が映っているのだろう。

  やはり、雲一つない、たくさんの夢や希望に満ち溢れた
 未来が広がる、清々しい、心地のよい、大空なのか。

12/9/2024, 11:29:06 AM

    #手を繋いで


  新しいママが来て、温かかったおうちは冷たくなった。

  新しいママは、パパが居る日は優しいけれど、
 単身赴任中のパパが居なくなっちゃうと、とても、
 怖くなる。

  僕や、弟のりくが、わがままを言うと、
 すぐに叩いたり、蹴ったりしてくるんだ。

  僕は、りくは叩かないでっていうけれど、
 ママは、聞いてくれないの。

  きっと、ママは僕とりくのことが嫌いなんだ。

  パパに相談しようと思うけど、パパが好きな人だから、
 嫌な思いをさせたくないんだ。

  パパに悲しい気持ちになって欲しくないから、
 りくを守りながら、ずっと、我慢するんだ。

  
  今日はね、学校から帰って長いお昼寝をしちゃって、
 ママが帰ってくる前に、洗濯物を畳めなかったの。

  悪いのは僕だけなのに、ママは僕とりくのことも
 お外のベランダに出したの。

  お外は、雪がたくさん積もってて、寒かった。

  息を吐くと白くなった。

  りくと雪だるまをつくって遊んでいたけれど、
 時間が経つとりくの体がどんどん冷たくなったんだ。

  上手におしゃべりもできなくなった。

  だから、僕の体の温かいのをりくに分けてあげようと
 思って手をぎゅーってしたの。

  でも、りくは声をかけても返事をしなくなったの。

  僕の体も冷たくなってきて、手が握れなくなったんだ。

  眠くなって、冷たくなったりくと手を繋いで、
 僕は寝ちゃったの。

  長いお昼寝をしたのになぁ・・・・・・。




  「昨日、○○市の住宅のベランダで、小学2年生の
  湊くん8才と弟の莉久くん4才が、凍死しているのが
  見つかりました」

  「湊くんと莉久くんは、母親から虐待を受けていた
  ものと考えられており、この日は雪が降る中、ベランダ
  に出されていたということです」
 
  「また、発見時、湊くんと莉久くんは手を繋いでいて、
  連日の寒さで2人の繋いでいた手が凍り、未だ離れて
  いないため、死亡解剖が進んでいないようです」

  「この現状から、兄弟の最後まで相手を思いやる思い
  と、事の残酷さが伝わってきました」

  「どうか、どうか、このように純真無垢な心を持つ、
  輝かしい子供たちの未来を、私たち大人の都合で
  奪うことがない、そんな未来を・・・・・・心から、望みたい
  と思います」







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