#ありがとう、ごめんね
出会ってくれて、ありがとう。
好いてくれて、ありがとう。
愛してくれて、ありがとう。
永遠の、愛を誓ってくれて、ありがとう。
俺を、ドン底から引き上げてくれて、ありがとう。
手を差し伸べてくれて、ありがとう。
お前との生活は、申し分がないほど、幸せで、
充実してた。
でも、ごめん。
だからこそ、不安でたまらない。
この幸せも、必ずあいつに奪われてしまう。
お前を巻き込んで、傷つけてしまう。
そんな考えが頭を埋めつくして、不安で、怖くて
どうにかなってしまいそうなんだ。
だから――ごめん。
俺は、先に逝く。
また、来世、逢おうな――。
#部屋の片隅で
初めてのキスは、酸っぱくて、ほんのり甘いらしい。
実際、どうなのかを知りたくて、僕は片思い中の
君に、キスをしてみようと思った。
まぁ、若気の至りってやつだろう。
いつも通り、放課後に君の家を訪ねて、勉強をして、
ゲームをする。
しばらくして、部屋の中が暑いと言い、君は着ていた
服を脱いで、上半身に布を纏わない姿を僕に見せる。
その姿を見た瞬間、僕の中の理性が、ブツっと切れる音
がした。
君の両手を重ねて、身動きが取れないように抑える。
興奮状態にあった僕は、その場の雰囲気にのまれて、
君と、初キスを交わした。
外に出れば、じりじりと陽の光に肌を焼かれ、
室内にいても、サウナのように蒸し暑い夏。
外で蝉がうるさく鳴いていたあの日、
君の部屋の片隅で、甘酸っぱい、キスをした――。
#眠れないほど
毎日毎日、眠たくてしょうがないのに、
夢に出てきて、俺をいじめるお前のせいで、
眠れない。
遂には不眠症にもなって、
精神科に通って、やっと安定してきたのに、
お前は、また現れる。
眠れないほどのトラウマをつくったお前も――
道連れだ。
そんな、恨みと、憎しみに溢れた少年は、
憎んでいる相手を道連れにし、飛び降りた。
#夢と現実
初恋が実る、それは夢。
現実は、甘くない。
『距離』
物理的な距離と心の距離。
物理的な距離が、近いからと言って、
心の距離も、近い訳では無い。
心の距離が、近いとしても、
物理的な距離は、遠いかもしれない。
人によって、距離は異なる。
パーソナルスペース、とでも言うのだろうか。
自分には、自分の。
人には、人の。
適切な距離がある。
それを見定めるのは、難しいけれど、
見定めた後に見えてくるのは、真の信頼関係、
なのではないだろうか。