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2/15/2024, 1:27:19 PM

カタン、と。ポストに軽いものが落ちる音がした。
見に行ってみれば、宛先も差出人も書かれていない淡い色の封筒が入っていた。
封を切る。
中には白地に暗い灰色の罫線が引かれたシンプルな便箋が一枚だけ入っていた。
そこには、変わらない癖が滲み出る字で素っ気ない一言が綴られていた。自分に不器用なのは10年経っても変わりないのね、と思わず笑う。
手紙を封筒に入れ直して机の引き出しに仕舞った。
10年後、同じ言葉を私に贈ろう。



(10年後の私から届いた手紙)

2/11/2024, 3:20:15 PM

ときどき、今この場所で最期を迎えられたら幸せだろうな、なんて思う。
大切な人がいて、大好きな人がいて、今日という日はこんなにも綺麗で。
空を見上げていればそんな穏やかな希死は解けてなくなってしまうのだけれど、そうやって今日まで生きてきたし、明日も同じように生きていくんだろう。



(この場所で)

2/10/2024, 12:21:05 AM

私は『自分を花束で表せ』と言われたら、紫、黄色、緑のチューリップを1本ずつ手に取ってその3本で花束を作る。
私を知らない人は、この花束からどんな印象を受けるだろうか。
私を知っている人は、私らしいと思うだろうか。
これは私が大切にしたい感情だ。私らしいかは分からないけれど、これ以上もこれ以外もない、私の花束。



(花束)

2/7/2024, 12:47:34 PM

なにか伝えたかったり、吐き出したかったり、助けてほしかったり、それらを書くことは簡単だと思う。

でもそれを書いて送り出すのは自分の意思で、その意思が足りないからせっかく綴った言葉も『どこにも書けないこと』として1人だけの秘密になる。

きっとみんな心に溜め込んだ言葉に溺れそうになりながら生きている。



(どこにも書けないこと)

2/5/2024, 3:17:35 PM

話す度に何度でも好きになってしまう。
触れれば体温が上がってしまう。
横顔を見るとき、愛おしさに目を細めてしまう。
綺麗な目をまっすぐ見つめて、滑らかで心地の好い声に瞼を閉じる。
隠す気もないから溢れる気持ち。

あなたが気付いていることに気付いているけれど、もう少しだけ逃げていたいんだ。



(溢れる気持ち)

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