カタン、と。ポストに軽いものが落ちる音がした。見に行ってみれば、宛先も差出人も書かれていない淡い色の封筒が入っていた。封を切る。中には白地に暗い灰色の罫線が引かれたシンプルな便箋が一枚だけ入っていた。そこには、変わらない癖が滲み出る字で素っ気ない一言が綴られていた。自分に不器用なのは10年経っても変わりないのね、と思わず笑う。手紙を封筒に入れ直して机の引き出しに仕舞った。10年後、同じ言葉を私に贈ろう。(10年後の私から届いた手紙)
2/15/2024, 1:27:19 PM