目が覚めると、朝になっていた。
君のいない、久しぶりの朝。
泣き腫らした目がヒリヒリと痛む。
外は明るかった。
陽は眩しかった。
新しい人生を歩むのに相応しい朝。
世界は美しかった。
そして新鮮だった。
私は死ななくとも生まれ変われる。
■テーマ:目が覚めると
子供の頃は、憧れて、なりたくて、なりきっていた。
何にでもなれると信じていた。
夢があった。
大人の今は、穢れて、錆びついて、壊れていった。
現実から逃げ出したくて仕方がない。
夢なんて幻になった。
温かな言葉なんて、冷たくなった心に、
もう響かない。
届くことなんてない。
あの陽に当たっていた時代は、
とっくに闇に変わってしまったから。
■テーマ:子供の頃は
今日世界が終わる。
街中がパニック状態だ。
美しかった街も今や荒れ果ててしまった。
私は荒れ狂う人達を無視して歩いた。
歩き続けた。
私には関係のない話だ。
死ぬのなんて怖くないのだから。
私は足を止めた。
新緑の中、佇み続けたもの。
それは一つの墓石。
……あぁ、愛する人の名前が書いてある。
やっとだ。
やっと、君に逢えるんだ。
私は墓石をそっと撫で、静かに寄り添った。
世界の終わりに君と一緒にいられなかった。
でも世界が終わればまた君と一緒にいられる。
終わりの瞬間が待ち遠しい。
一刻一刻と迫る終わり。
私にとっては再会でしかないのだから。
■テーマ:世界の終わりに君と
私には貴方がいてくれれば何もいらない
何も、いらない
貴方に全てを捧げられるほどにいらないの
本当に何もいらないの
貴方さえいてくれれば私は幸せなの
だから、どうか、そばにいて
離れないで
私の手の届く範囲にいて
私を抱きしめて
それ以外、何も望まないから
何もいらないから
だから、どうか、そばにいて
離さないで
■テーマ:何もいらない
美しい桜並木
せせらぐ透明な川
優しい風が吹く
桜の花びらはひらひらと舞い上がる
ここは桜色の世界
暖かな季節がやってくる
■テーマ:春爛漫