「ねぇ、ジャングルジムのぼろっ!」
「いいね、高いところから校庭を見渡すんだっ!」
その時の僕たちはとても純粋で、明るくて、なんでもできそうで。
...あの頃に戻りたいよ。
ねぇ、いつから?いつから変わってしまったの?...わかってるのに、認めたくなくて。
わかんない、わかんない...わかんないわかんないわかんないわかんない
「僕は、悪くない」なんて、認めたくないだけの、言い訳をして。
また、現実逃避。
「ねぇ、死ぬときってどんな気分なのかな?」
そう君が言ったときに、止めれば良かったかな
「やめときなよ」
こんな簡単な言葉じゃ、だめだったかな
...なーんて、今さらだ。...もう、終わったんだ。
危険なものは壊す、なんていう、学校の意向で
今はもう、思い出のジャングルジムが跡形もなく消えている。
なにも見えない
なにも聞こえない
ねぇ、こんな怖いことってある?
誰か、いるのかな。ここは、どこなのかな。
それすらも分かんなくて。
誰一人、仲間がいないような。冷たい水の中、一人孤独で悶え苦しんでるみたいな。そんな気分になる。
ねぇ、みんなどんどん消えていくの。
前までは、手を握ったり、頭を撫でてくれたヒトも。いつも私が座っているベンチのとなりに座ってくれたヒトも。
もしかしたら、そのヒトは女の子に触れたかっただけの、気持ち悪いヒトかもしれない。私をサンドバックみたいにして愚痴をはいてただけのヒトかもしれない。
でも、なんでもいい。ただ、ヒトがいることを感じたかった。
なのに。みんな、離れてく。私を、オモチャみたいに扱う。飽きたら捨てるなんて、ばかみたいだよね。
最近、毎日こればっか。どうしようもならないことを口にして。誰も、聞いてはくれないのに。上手く、しゃべれすらしないのに。
はぁ...
自分にすら聞こえないため息をつく。その時、初めて聞こえたの。
僕は、みてるよ、君のこと。
その声は、とても温かくて。それでいて、力強かった。
「ありがと」
多分、今までで一番、大きい声が出たんだと思う。視線を感じた。でも、それは気にならなかった。
涙が溢れた。
「アキ、君が好きだ」
そんな、誰でも思い付きそうな言葉で。
「付き合ってくださいっ」
必死に叫んだ。
「...っは」
目を開けるとそこに写るのは、紅葉と君...じゃなくて、俺んちの天井。はぁ...やっぱ夢か。実際は、あんなことができるはずもない。
「おはよう」
とか
「元気?」
とか
「もう秋だね」
とか。
どうでもいいこと。別に話してて楽しい、なんて思わないこと。それしか話せない。夢に出るくらいには、アキのことが好きなんだけどな
秋にする恋を、秋恋って言うらしい。だから、二つの意味でアキ恋...なんちって
#秋恋
生きられること
自由な時間があること
動けること
学校に行けること
友達がいること
君と過ごしていられること
#大事にしたい
君がお花畑で待ってるのが見える
ねぇ、早く来てよ。寂しいよ
そう、僕に語りかける
行かなくちゃ...
脳が、とっさにそう言った
けど。僕が今こうしてがんばれるのは君のおかげだから
君からもらった命
もう少しだけ使ってもいいかな
ひとりでに歩きだした自分の足を、止めた。