【星空】
満点の星空を見て何を思ったか。初恋の女の子の話。
「あれはね、帽子座。」
本当はない星座を作り出して屈託のない笑顔で笑う子だった。それもまぁ昔の話で鮮明に記憶があるわけじゃない。けれど、なぜか思い出してしまう。特にこんな生ぬるくて雨の降りそうな天気の時は。
「私雨が上がった日の星空が一番綺麗だと思うんだ。」
【神様だけが知っている】
神様だけが知っている、私が彼女を殺したことを。あの人だけが知らない、私の口が悪いこと。
「夢にまで見たこの瞬間。」
「性格の悪さが顔に滲み出てらァ。」
こんなの小説でしか聞かなかったセリフ。言ってみたかったの。知らないよ。
「悪い?」
あえて、つっけんどんにして返してみる。
「悪くない、知ってるからね。」
どこまで知ってるなんて野暮なこと。神様だけが知っている。でもこいつは私の神様なんかじゃない。きっと、神様なんていなかったって思うには早すぎるから信じている。でも、いつまで続けていられる? せめて、この家から出るまで。彼女の心を殺してしまったと知られるまで。あの人が私の心を奪ってくるまで。プログラムには記されていない感情が私の邪魔をする。だからだ。人の真似は上手かった。彼女を殺すのだって容易かったはず。
「もう帰ってこないの?」
「分かんない。」
神様はなんのために私を産んだんだろう。あの人は何のために私の知らない間に感情をつけてしまったんだろう。好きになったら負けになる。彼女はきっとあの人が好きだった。だからだ。負けるのは嫌だった。馬鹿だなぁ。あの人を見て悲しくなるのは立派に恋と呼んでもいいものなのに。
【この道の先に】
この道の先に何があるんだろう。きっと俺が目指すべきはこっちじゃなくてあっち。この矢印の先には何がある?
「喉が渇いたから、水が飲みたかっただけなのに。」
更地に何かがあるなんておもっちゃいなかったけどただこの道の先にオアシスを見つけたかっただけ。
【日差し】
暑さのせいで回る目に日差しがキラキラしてた。今年の夏は去年よりも暑くなるらしい。お生憎様の雨、お天気にはなかなかなってくれない。私もこんな天気飽きてしまう。
「今日は雨のち曇り、傘が必要かもだってよ。」
「げ、傘なんて持ってないんだけど。」
天気予報とか星座占い見ないからだよ、って談笑。見た方がいいのは分かっている。けれど、どうしても見る時間がないんだ。日差しでバテてまともに日中歩こうとも思えない。何もしていないのに疲れてしまうからさすがに夏バテ。水分とった? って少し注意をされる。
「飲み物持ってないからさ。」
「じゃあ、これ飲みかけだけどまだ新しい方だから。」
って、思わせぶり。やめてよ、そんな。この関係に名前をつけるとしたら兄妹と同じ感じ。同い年で片方が面倒見がいい。余裕を感じる暇もないのに。今年の夏はいつもよりもずっと心臓の音がうるさい気がする。
【窓越しに見えるのは】
窓越しに見えるのは狐の笑顔だった。俺は自分の目を精一杯凝らして窓の中を凝視する。本来ならば人は知りえないはずの秘密のポーズ。使う際には気をつけろ、と。何度も念を押された。深淵を見る時に深淵がこちらを見ているように。また、俺が人ならざるものを見ている時人ならざるものも俺に見られていることに気づいてしまうのだ。
「君、僕の事見たでしょ。」
ほら、見られてる。