【あの頃の不安だった私へ】
今の私が元気なのか分かりますか、あの頃の不安だった私へ。なんて、一昨日きやがれくらいには意味が分からない書置きっていうか手紙。起きたらこんな手紙が置いてあった。生憎、昨日は珍しくお酒を浴びるほど飲んでしまったので記憶はない。寝る前に何をしていたかとか覚えていない。独りで酒に溺れていたんだ。迷惑はかけていないはずと思ったらこいつ誰。知らないやつか。
「ん? 知らないやつぅ!?」
思わず叫び声をあげたが、その見知らぬ誰かは起きやしない。いや、ありがたいけど。いや、誰だよ。私、何したんだ。てか、こいつ尻尾生えてね?
「ん、誰お前。てか、ここどこ。」
いや、私が知りたい。あの頃の不安だった私へ。なぜかわからないけど私が起きたら目の前に悪魔らしき何かがいたらしいです。
【逃れられない呪縛】
駆けだした、逃れられない呪縛から。飛び出した、自由を求めるために。逃れられないのになんで走っているんだなんて馬鹿な質問。いいじゃん。
「呪いをかけた本人しか解けないなんて、馬鹿みたい。」
【昨日へのさよなら、明日との出会い】
「これで最後だね、さよなら。」
君はその言葉だけを残して消えていった。悲しませない。約束したのに。契った自分に恨みを込めて少し、小指を爪で摘む。赤い糸は重い鎖になって、まとわりついた。
「小指なんて結ぶんじゃなかったや。」
【透明な水】
湧き上がってきた感情は透明な水に似てた。僕の怒りを全て無に変えていく感じ。初めてじゃない、戸惑っただけ。
「やめなよ、母さん。」
怒鳴り声は何回目か。理性が消えていく瞬間はどんな感じか。頭がおかしくなりそうだって兄さんは離れていった。それなら僕は?
「私のこと捨てないわよね?」
A.逃げられないだけだ。
【理想のあなた】
鏡合わせで理想のあなた。私と手を合わせて入れ替わり立ち替わり遊びましょう。私はこっちが嫌であなたはそこから逃げ出したい。それなら、私があなたにあなたが私に代わってくれる。
「手と手を合わせて手に入れたいものを傍に手繰り寄せただけ。」
それが言い訳でもいいと思えた。私はあっちには戻りたくないの。手と手を合わせられはしなかった。ただ、あなたが朽ちるだけ。綺麗な花に優しくはなかったのね。
「ごめんね。」