【初恋の日】
初恋の日、泣いた。好きな人に好きな人がいた。恋を自覚した日に告白しているところを見てしまったんだ。不幸な事故。そこから始まる恋があってもいい?
「なに、泣いてんの。」
慰めとか来てほしくなかった。ずっと隣にいないでほしい。でも、どこかで安心していた。隣に来て私の涙を心配してくれる人がいる、と。
「泣いてないけど。美味しいものが食べたい。」
「ラーメン食い、行くか。」
「ん。」
そうやって、手を引いて私を笑顔にしようとする。
【明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。】
明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。美味い飯をたらふく食いたいとかになるのかな。いや、推しを間近で見ることかも。話しかけるとかじゃなくてただ、見るだけ。迷惑になりたくないからただ、幸せそうな最期を見たいだけ。まぁ、飯にそんな興味があるかと聞かれれば推しよりはないけどなんとなくはある。そんなもん。でも、明日世界がなくなったら推しの晴れ舞台見れねぇな。ライブ、その一週間後だもんな。シャレにならん。
「はぁ、こんなこと考えても無駄か。」
ふいに無音が気まずくなってテレビをつける。
『明日世界が終わると、大昔に予言されていました!』
テレビのくだらないはずの話題につい目がそちらへ自然に向いた。
「おい、嘘だろ……?」
【君と出逢ってから、私は・・・】
君と出逢ってから、私は・・・泣かなくなったよ。強くなれたよ。君はどうかな。私は今の君を知らない。私は過去の君のこともよく知らない。それでも、君は私に手紙を出した。君を探していい合図。君を殺していい合図。愛したいほどに憎らしくて大切な君。早く私に殺されてよ。
【大地に寝転び雲が流れる・・・目を閉じると浮かんできたのはどんなお話?】
夜が遠くて、手が伸びなくてとりあえず呼吸を置いた。 届かなくてとりあえずあくびが出てきたんだ。どれだけ、手を伸ばせば届くとか。どれだけ、あくびをして待ち続けてば君が振り向いてくれるか、って。どれだけ、考えたんだろう。
「今日は、月が綺麗な日だよね。明日も晴れかな。」
「ね、月綺麗。今日は言わないんだね。」
さすがに諦めって言葉を知っていたから。さすがにもう砕かれる勇気はないから。君にもう悲しそうな顔させたくなくて。馬鹿かな、かっこ悪いかな。かっこつかないとか自分でも分かってて、どれだけ君が好きか自分が一番分かっているつもりだった。
「死んでもいいかもね。」
「変なこと言わないでよ。」
「変なこと、かな。」
隣に座る君との距離感は変わらない。手が少しだけ触れそうになる距離。それでも、届かない。
「月が綺麗なんてロマンチックだよね。」
受け取れなかった言葉に後悔しつつ、勇気に感動した。死なせてくれてもいいのにね。夢であっていいからさ。
【「ありがとう」そんな言葉を伝えたかった。その人のことを思い浮かべて、言葉を綴ってみて。】
忘れたくない、忘れられない。最後に出てきたのはごめんなさいで。ありったけのありがとうですら足りない。どれだけ伝えようとしても伝わりきらない大切がたくさんあるの。優しいって言葉だけでどうにかならなくて。それでも、後悔してないよ。私、今なら言えるかな。心の底からありがとうって。