たなか。

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4/24/2023, 5:10:38 PM

【ルール】

ルールなんてと思うことが多くなった。私が転生していたことを思い出してからだ。前世は社畜で今世は少し知っていただけのゲームのモブ女。なんか、英国っぽいところが舞台となっている貴族はいるけれどストーリーには関係ない。だから、いじめとかに加担するわけでもなければヒロインと関わるでもない本当にただのモブ。私がこのゲームを知っていたのは推し絵師様がキャラビジュを担当しているから。もちろん、SNSで流れてきたときは発狂した。オタクなら当然だろ。そう、つまりこの世界の住人を見るたびに発狂したくなるのだ。自分の顔でさえも。毎日、鏡を見るだけで悲鳴を上げそうになるのを止めているので偉い方だ。ルールが嫌なのはこの世界戦の住人たちがルールで縛られているから、私も含めて。業を抱えて、家の事情を抱えて、個人の闇を抱えて生きているから。
「そろそろ付き合ってくれる気になった?」
ここで疑問。なんで、私が言い寄られているのか。ヒロインに関わる生活なんてしていないのに。
「私は、モブなのでそういうのではなくて恐れ多くてですね?」
そんなこんなでヒロインに関わってないはずの私がこんなにモテるのなんでですかね、私はただ平穏に推し絵師様の最強ビジュを眺めたいのに。こういう転生ものがあってもいいじゃないですか。

4/23/2023, 3:32:35 PM

【今日の心模様】

今日の心模様は晴れ模様、好きなあの子に会えたから。嫌いな奴を見なかったから。そんな感じ。昨日の心は雨模様。大好きなアニメのグッズを失くしたから。好きな子が体調を崩していたから。何で知っているかって。何でも知っているから。
「ネトストなんて馬鹿らしいからやめたいのに。」
何年も見て来た。好きな子の隣じゃなくなってから。家が遠くなってから。その子のバイト先のお弁当屋に通って、少し豪華なお昼ご飯と称して君に会いに行く。告白はしない。ただ、そこのお弁当が好きだから。君が好きだから通うだけ。ポリエチレンに包まれた暖かい物は僕の胃を満たしにくる。優しい君の接客と身体に優しいお弁当。それが僕の心模様を晴れにする。明日の心模様ももしかしたら、晴れかもしれない。君に会えるなら。嫌いな奴を見ないなら。

4/22/2023, 6:25:09 PM

【たとえ間違いだったとしても】

たとえ間違いだったとしても、もういいから。もういいから、一度だけ。やり直せるならきっと、後悔しない方より後悔する道を選ぶと思う。それでも、手に入れたかった。君の幸せとか考えられないから。
「もう一度連れていくよ。」
夢の中に。手を取って、彼女の意識をもう一度こちらへ。本来はいるべき場所でない場所へ。なんせ、悪役なんだ。悪役っぽい悪いことをしなきゃ。人攫いなんて悪役っぽいでしょう?
「君が望まなくてもずっと傍に。」
「なんかさ、こうなる気がしてたの。連れ去るくらいならどこまで連れ去ってくれる?」
ビー玉じゃないその目には僕にない光があった。君は目を光らせてくれるんだ。僕の我儘にも付き合ってくれるんだ。きっと、君がこちらの世界に呼ばれて悪夢しか見れなくなる前になんとかしてくれたのは正解だった。元の世界に帰って元気に暮らすのが正解なはずたったのに。たとえ間違いだったとしてもそれが僕のための最適解だったから。君なしじゃいられないのはずっと僕だったかもしれない。
「夜は寂しくて何かに縋りついてないと寝られないんだ。僕が悪夢を見なくなるまで。君にこの世界を見てほしい。」
「独りは寂しいもんね。分かるよ、貴方が望むならいつまででもきっと囚われていてあげる。」

4/21/2023, 5:47:32 PM

【雫】

無機質な雫を垂れ流す。舐めたらなんかしょっぱくて、心が少しだけ痛くなった。これは汗だからなんて言い訳。負けたんだ、賭けに。試合に負けた。
「負けたらご褒美、約束でしょ?」
癪に障る。声をかける時を選べよと言った顔で見つめてみると少し笑われた。
「泣いてんの?」
お前に負けたから。あと一点とかじゃない。ぼろ負けだった。こいつだけには負けちゃダメなのに。約束したから。
「分かった、付き合うだけね。」
罰ゲームでしょ。好きな人となはずなのに。ちゃんと告白したかった。

4/20/2023, 4:24:16 PM

【何もいらない】

いつもは言わないような声で告げた。
「何もいらない。」
「誕生日なのにいいの?」
いいんだ。ほしい物はどうせ、失くしてしまうから。失くされてしまうから。ほしい物は全部あいつの物。僕にあげれるほど神様の懐は広くないらしい。才能だって人だって。
「だって、同じ誕生日じゃん。出費が重なっちゃう。」
「でも、」
「いいの。」
想いがないならくれなくてもいいから。突っぱねた。でも、彼女だけは。彼女のことだけは。渡したくなくて。府病巣に奪い去れるくらいの勇気すらくれないらしい。
「プレゼント、何が欲しいの?」
「君って言ったら?」
真剣に答えてよ、なんて少しだけ怒られる。真剣なんだけどな。
「お揃いのキーホルダー、センスは任せる。」
昔、あいつと一度だけ平等になれたものだったから。仕方ない。引きずるなんて子どもっぽいかな。分かってほしくて仕方がない。彼女が清楚に笑ってから告げる。
「ほしいものくらい分かってるよ。でも、あげられないの。ごめんね。」
やっぱり、不公平なだけじゃんか。何もいらないよ。

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