【真昼の夢】
かげろうが立っている
暑すぎて蝉の声さえ聞こえない
汗が流れていくのを気に止めず
その行列を凝視している
黒い服を着た男女
幼い子から老人までバラバラだ
皆やや下を向き表情までは見えない
先頭の年老いた女が額縁を抱えている
見なくてもわかる
あれはあの女の遺影
殺したいほど憎んでいたが
自分で手を下すことは叶わす
こうして葬列を見送っている
わかってる、これは白昼夢
現実ではない
けれど魅入られたようにその行列から目が離せない
ああ、汗が目にしみる
【二人だけの。】
あなただけに言うの…
その言葉に何度騙されたか
すがるような目で見上げる君が嫌でたまらない
君にあげられるものはもうない
きっとそれは別れの合図
だから最後に出掛けよう
二人だけの秘密の場所
優しく撫でる僕の手は、君の髪を鋤き、まぶたに触れる
瞳を閉じて物言わぬ君に別れを告げる
二人だけの秘密
【書く練習】
今日の書く練習はお休みします
【隠された真実】
どこかで聞いたことがある
ふと、そう思った
いったい何が?
わからないのに、覚えだけがある
辺りを見回すがなにもない
耳を澄ませてみるがなにも聞こえない
不思議に思い首をかしげる
何かに気づいたのだ
忘れてはいけない気がする
手のひらにじわりと汗が出る
近くではないのか?
遠くなのか?
目を閉じて想像する
暗く深い奥底で、開いてはいけない扉が音を立てて開いてゆく
中からは名状しがたい何かがこちらを覗いている
私の視線に気づいたそれは触手を伸ばし這い出ようとしている…
私はカッと目を見開いた
いつもの部屋の中、激しい息づかいだけが聞こえる
背中は汗でびっしょりと濡れていた
気づいてはいけない
気づいてももう遅い
気づいたところで、逃れることはできない
隠された真実は隠さなければいけないのだ
【書く練習】
アウトプットするために
書く練習を始めたのに
今は日々ノルマに追われるように
テキストを吐き出している
こんなはずじゃなかった
もっと心のうちを書き出して
メンタルケアに役立てたかったのだ
感情の整理
自己理解の深化
これを続けて精神的に健康になりたかった
これじゃあ全然意味ない
毎日書くと決めただけ
だらだらと意味のないことを書いて
何のために書いてるのかわからなくなってきた
一度途切れたらもう書かなくなるんだろうな
それが怖いような、楽になるような
そんな狭間をさ迷っている